大災害に直面した瞬間、あなたならどう行動しますか。今、全国の学校で自分自身を主人公にした「防災小説」を執筆し、命を守る方法を学ぶ斬新な試みが注目を集めています。自由な発想で描く物語ですが、「最後は必ずハッピーエンドで終える」という絶対的なルールが存在するのです。
この取り組みはSNSでも大きな反響を呼んでおります。「恐怖を煽るだけでなく、生き残る未来を想像させる点が素晴らしい」「子供の主体性が育ちそう」といった絶賛の声が相次ぎました。悲劇で終わらせないことで、前向きに生き抜く知恵を育む狙いがあるのでしょう。
2019年12月上旬、埼玉県川越市立霞ケ関西中学校にて、3年生約110人を対象とした先進的な授業が実施されました。「震度6弱から7の激震に襲われたら」という想定のもと、生徒たちは過去の震災の被災状況を学び、首都直下地震への備えをグループで熱心に議論しています。
参加した女子生徒は、これまで家族と災害について議論した経験がなかったと明かしてくれました。しかし、この授業をきっかけに「どうすればハッピーエンドを迎えられるか真剣に考えたい」と語り、自らの課題として災害を捉え始めている様子が強く印象に残ります。
防災小説は、教師が災害規模や日時、天候を指定し、生徒が原稿用紙2枚ほどにまとめる学習方法です。特筆すべきは、地震学の専門家であり防災教育に尽力する慶応義塾大学の大木聖子准教授が、この画期的なメソッドを考案したという点でしょう。
南海トラフ地震による大津波が懸念される高知県土佐清水市からの相談が、誕生のきっかけとなりました。2016年から導入した同市立清水中学校では、生徒が避難所運営に主体的に関わるなど、防災に対する意識劇変という素晴らしい効果が現れています。
地域を巻き込む防災の新潮流
政府が2017年11月に行った世論調査によると、家族と震災時の行動を話し合ったことがない人が4割を超えていました。この危機的な現状を打破するツールとして、防災小説は愛媛県など他地域の中学校へも急速に波及している状況です。
愛媛県愛南町立御荘中学校では、2019年10月の文化祭で「防災小説コンテスト」を開催しました。全校生徒が執筆した作品を競い合い、地域住民も審査に加わることで、学校内にとどまらないコミュニティ全体の危機管理能力向上へと繋がっています。
大木准教授は、この試みが災害を日常の文脈に落とし込み、周囲と共有することで現実味を持たせられると解説します。これこそが、従来の訓練では得られなかった、一人ひとりが当事者意識を持つための鍵になるのではないでしょうか。
筆者は、この取り組みが全国に普及することを切に願っています。単なる知識の詰め込みではなく、物語を紡ぐことで「生き残るイメージ」を肉付けしていく作業は、いざという時に未来を切り拓く最強の武器になるはずです。
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