アフリカ南部が、1980年代以来となる過去最大級の猛威にさらされています。かつてない規模の干ばつが地域一帯を飲み込み、現在進行形で人々の生活を根底から揺るがしているのです。国連の報告によれば、農業生産の激減によって、実に4500万人もの人々が深刻な食料不足に直面するという、衝撃的な事態が予測されています。
特に世界を驚かせているのは、ユネスコ世界自然遺産にも登録されている「ビクトリアの滝」の異変でしょう。2019年12月上旬、轟音とともに流れ落ちていたはずの水流は姿を消し、そこには無残に乾ききった岩肌が広がっていました。観光資源としても重要なこの滝が干上がるという現実は、気候変動の恐ろしさを象徴する象徴的な出来事といえます。
SNS上では、このビクトリアの滝の変貌を捉えた写真が拡散され、「地球の悲鳴が聞こえるようだ」「もはや他人事ではない」といった悲痛な声が次々と寄せられています。多くのユーザーが、美しい大自然が無惨に失われていく様子に強い衝撃を受けており、環境保護に対する意識を改めて問う議論がオンライン上でも活発に交わされている状況です。
インフラ崩壊が招く都市生活の麻痺と経済の停滞
この干ばつの影響は、農村部だけでなく都市部のライフラインにも深刻な影を落としています。主要な水源であるザンベジ川の水量は過去25年で最低水準まで落ち込み、水力発電に頼る電力供給がストップしているのです。ジンバブエやザンビアでは、貴重な外貨獲得源である銅やコバルトの鉱山操業にも支障が出ており、域内経済はまさに麻痺状態に陥っています。
ここで解説が必要な「灌漑(かんがい)」とは、農地に人工的に水を供給する設備のことを指します。この設備が整っていれば、多少の雨不足でも作物を守ることができますが、アフリカ南部ではこの開発が遅れていました。そのため、天候に左右されやすい小規模農家が多く、一度の干ばつがそのまま食料危機に直結するという脆弱な構造を露呈してしまったのです。
ジンバブエの首都ハラレでは、断水が日常的な光景となりました。2019年12月現在、市民は喉の渇きを潤すために、早朝から井戸の前に長い列を作って並んでいます。さらに、こうした生活苦が森林の違法伐採を招くという悪循環も発生しています。森林は二酸化炭素を吸収するだけでなく、雨水を蓄える「緑のダム」の役割も担うため、伐採はさらなる乾燥を招くのです。
私たちが認識すべきは、今回の事態が単なる「自然現象」に留まらないという点です。国際通貨基金(IMF)が各国経済の成長率を下方修正したことは、気候変動がもはや物理的な被害だけでなく、国家の存立を左右する経済的な脅威であることを示しています。先進国の排出する温室効果ガスの影響を、途上国が最も過酷な形で背負わされている現実に、私は強い憤りを感じざるを得ません。
ザンビアのルング大統領が訴えるように、気候変動の影響を最も受けるのは、それに対処する力が最も小さい途上国です。2019年11月に南アフリカで確認されたひび割れた大地は、世界に対する警告そのものです。私たちは今、このアフリカの叫びを自分たちの問題として受け止め、国際的な支援と抜本的な環境対策を急ピッチで進めていくべきではないでしょうか。
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