2020年東京パラリンピックの開幕を控え、パラスポーツ界では今、観客席のあり方を根底から変える素晴らしい挑戦が始まっています。視覚に障害を持つ方々にも、ピッチ上の白熱した試合展開をリアルタイムで届けようという試みです。
広告大手の電通などが立ち上げた「パラスポーツラボ」は、日本ブラインドサッカー協会とタッグを組みました。そして、ボールの軌道を手のひらで直感的に捉えられる、画期的な観戦システムの開発に成功したのです。
ブラインドサッカーとは、アイマスクを着用した選手たちが、音の鳴る特殊なボールを巧みに操り、声の掛け合いを頼りにゴールを目指す、非常にエキサイティングな5人制サッカー競技のことを指します。
2019年12月上旬、東京都町田市で開かれた国際親善試合にて、この最先端デバイスの実証実験が行われました。客席の視覚障害者の方々は、ヘッドホンから流れる臨場感あふれる実況音声に耳を傾けていました。
同時に、手元に用意された長方形の不思議な装置に両手を添えながら、真剣な表情でゲームの行方を追っていたのが印象的です。この箱の上を、まるで生き物のようにボールのポジションが動いていく仕組みになります。
ピッチを俯瞰する2台の高精度カメラが捉えたボールの位置データを、独自のプログラムで瞬時に解析します。そして、ピッチを再現した縦約11センチ、横約15センチの盤面へリアルタイムでデータを転送する仕組みです。
盤面上では、ボールの役割を果たす小さな突起が縦横無尽に駆け巡り、ユーザーは指先を通じて戦況を把握できます。「攻め込まれている様子がリアルに伝わる」と、客席からは驚きと歓喜の声が上がりました。
SNS上でもこの試みは大きな話題を集めており、「障害の有無に関わらず全員が同じ熱量で熱狂できる素晴らしい技術だ」「これぞ未来のスポーツ観戦の姿」といった、称賛や期待のコメントが数多く寄せられています。
実際に体験した30代の男性会社員は、「視覚で補えないボールのスピード感を触覚が見事にカバーしてくれた。これなら本番のパラリンピックもぜひ会場へ足を運んで応援したい」と、満面の笑みで語ってくれました。
2019年以降、開発チームは大会のたびに視覚障害者の方々から意見を募り、両手で全体を包み込めるコンパクトなサイズへと改良を重ねました。こうした現場主義の開発姿勢には、深く頭が下がる思いがいたします。
誰もがスポーツの感動を共有できる社会の実現に向け、テクノロジーが果たす役割は極めて大きいと感じます。この技術は、視覚障害者の方々の「スタジアムで観戦する喜び」を何倍にも膨らませてくれるはずです。
プロジェクトを牽引する電通の藍耕平さんは、「目で見えなくても心からスポーツ観戦を楽しめる新体験を提供したい。東京パラを機に、世界の観戦スタイルを変革したい」と、熱い胸の内を明かしてくださいました。
このシステムは、将来的には一般のサッカーやラグビーなど、様々な球技への応用も期待されています。今回の東京パラリンピックが、すべての人が一体となって熱狂できる、真のバリアフリー観戦の幕開けとなるでしょう。
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