2019年6月20日の「世界難民の日」に合わせて、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)から公表された報告書は、国際社会に対して極めて重い課題を突きつけています。2018年末時点で、紛争や迫害などによって故郷を追われた難民や国内避難民の数は、過去最高となる7080万人に達しました。これは前年の2017年末から230万人も増加しており、その半数が幼い子どもたちであるという事実は、私たちの胸を締め付けます。この数字は、第2次世界大戦後において、人類が直面している最大級の人道危機であることを明確に示しているといえるでしょう。
難民の出身地を見てみると、中東のシリアやアフガニスタンといった紛争が続く地域からの人々に加え、ミャンマーから逃れてきたロヒンギャ難民など、特定の集団に対する迫害が深刻化しているケースも含まれています。世界が今、緊急で取り組むべきは、食料や医療、住居といった彼らが生きるために必要な生活支援を、的確かつ効果的に行うことでしょう。また、難民の多くは、地理的に近い周辺の貧しい国々によって受け入れられているという現実があります。こうした国々の経済的・社会的負担を軽減するための、国際的な協力体制の構築は急務であると考えられます。
短期的な緊急支援と並行して、難民問題の解決には中長期的な視点が不可欠です。難民の自立支援を促すこと、そして安全が確保された段階で故郷への帰還を支援することはもちろん、そもそも難民を生み出さないための多角的な取り組みが非常に重要となります。難民発生の根本的な原因には、紛争や政治的対立、そしてその根底にある貧困が存在しています。これらの根本原因に目を向け、解決に導くことが、国際社会全体の責務であると、私は強く主張したいのです。
国際社会の一員である日本も、この人道危機を「ひとごと」と捉えてはなりません。UNHCRへの拠出額では世界で5番目の位置にあり、また国際協力機構(JICA)を通じた開発協力も積極的に行っています。しかし、日本国内での難民受け入れの状況については、先進国の中で極端に少ないという現実があります。例えば、2018年に難民認定を申請した1万493人に対し、難民と認められたのはわずか42人にとどまりました。これは前年より22人増加したとはいえ、国際的な水準から見ると議論の余地があるといわざるを得ません。
難民認定とは別枠で、シリア難民を留学生として最大150人受け入れるプログラムなども実施されているものの、これだけで十分な対策とは言い難いでしょう。日本が今後、海外での支援を重視するのか、あるいは国内での難民受け入れを増やすのか、国民的な関心と議論が深まらなければ、その方向性は定まりません。SNSなどでの反響を見ても、「日本はもっと受け入れるべき」「現地の支援に集中すべき」といった様々な意見が飛び交っており、国民の間でも問題意識の深まりが求められています。
そのような中で、民間企業の積極的な動きは非常に評価できます。アパレル大手のファーストリテイリングでは、2019年4月末現在で59人の難民を地域限定社員などとして雇用しています。また、支援物資を海外の難民キャンプへ送る企業も増えている状況です。こうした企業による難民の雇用や支援活動は、私たち国民が難民問題をより身近な問題として捉え、具体的な行動を考えるための、素晴らしいきっかけになることと期待しています。
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