日本は世界でも有数の地震大国であり、私たちは常に自然災害の脅威と隣り合わせで暮らしています。万が一の事態が起きたとき、どれほどの損失が出るのかを迅速に把握することは、街の再建において極めて重要な要素です。そんな中、神戸大学が非常に心強い研究成果を発表しました。2020年1月24日、震度5以上の激しい揺れに見舞われた際、各自治体が被った経済的なマイナス影響を、わずか24時間以内に弾き出す予測式を開発したというのです。
これまでの常識では、大規模な災害が発生してから具体的な被害総額が算出されるまでに、少なくとも2週間、状況によっては数ヶ月もの莫大な時間がかかっていました。今回お披露目された仕組みは、そうしたタイムラグを劇的に短縮する可能性を秘めています。SNS上でもこの発表は瞬く間に拡散されており、「これなら復興の予算をすぐに組めそう」「迅速な支援につながる素晴らしい技術だ」といった、期待に満ちた好意的なコメントが数多く寄せられている模様です。
この頼もしいプロジェクトを牽引したのは、災害経済学を専門とする神戸大学の豊田利久特命教授です。豊田氏は防災科学技術研究所と手を組み、2018年6月から地道な共同研究を積み重ねてきました。ここで注目したいキーワードが「災害経済学」という学問です。これは地震や台風といった天変地異が、社会の景気や企業の生産活動、さらには人々の暮らしにどのような影響を及ぼすかをデータに基づいて分析し、より効率的な復興ロードマップを描くためのアプローチを指します。
今回の予測式を導き出すにあたり、研究チームは1980年以降に発生した震度5以上の地震のうち、詳細なデータが公表されている31の災害事例を徹底的に解析しました。さらに、日本全国の市区町村に存在する道路や水道といった社会インフラ、および民間建築物の価値を示す「ストックデータ(資産の総量)」を独自に数値化して整備したのです。これらの土台に、全国に設置された地震計のリアルタイムな観測値を掛け合わせることで、驚異的なスピード推計を実現させました。
振り返れば、1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災のときは、公式な被害額の発表までに2週間から3ヶ月もの時間を要しました。場合によっては、国などが明確な数字を出さないケースすらあったといいます。しかし、この新しい数式を使えば、たとえば2018年6月に起きた大阪府北部地震における大阪市北区など5市区の建物被害は「2760億円」と、瞬時に導き出すことができます。迅速に具体的な数字が見えることは、行政の初動対応を加速させるでしょう。
編集部としては、この技術が一日も早く実際の防災計画や現場に組み込まれることを切に願います。現状の予測式が弾き出すのは、あくまで建物やインフラが壊れたことによる「直接被害」であり、工場のストップや消費の冷え込みといった「間接被害」は含まれていません。それでも、大まかな規模感が1日で判明するメリットは計り知れないはずです。今後はこの貴重なデータをどう開示し、どう避難や救援に役立てていくのか、具体的な活用方法の議論が深まることを期待して止みません。
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