現代のビジネス界において、膨大なデータ、いわゆるビッグデータの利活用は企業の成長を左右する重要な鍵となっています。そんな中、個人情報保護の壁を乗り越える画期的な仕組みとして注目を集めているのが「匿名加工情報(とくめいかこうじょうほう)」です。これは、特定の個人を識別できないように適切に処理を施し、元の状態に復元できないようにしたデータのこと。最大の特徴は、本人の同意を得ることなく、第三者へ提供したりビジネスに役立てたりできる点にあります。
日本経済新聞社が2019年10月から2019年11月にかけて実施した「企業法務・弁護士調査」によると、集計対象となった204社のうち、すでにこの仕組みをビジネスに「活用している」と回答した企業は14%に上りました。さらに「活用を検討している」という前向きな企業も29%を占めており、全体の約4割が導入に高い関心を寄せていることが判明しています。SNS上でも「医療データの共有が進めば新薬の開発が爆発的に加速しそう」「金融でのデータ活用が進めば、よりパーソナルなサービスが期待できる」といった利便性への期待の声が多く上がっていました。
活用している企業の具体的な目的としては、「商品企画やサービス開発」が69%と圧倒的なシェアを誇り、次いで「市場調査」が45%という結果になりました。データ加工の専門ソフトを手掛ける企業からも、医療業界や金融業界を筆頭に問い合わせが急増しているという頼もしい声が聞こえてきます。何を分析したいのかという目的意識がはっきりしている企業ほど、スムーズな導入に成功している傾向があるようです。
一方で、半数を超える53%の企業が「活用する予定はない」と回答している現実も見逃せません。その理由の多くは「利用する必要性がない」ということや「そもそも対象となるデータを保有していない」というものでした。しかし、それだけでなく、関連するルールが非常に複雑で難解であるため、制度の本質的な価値や目的が十分に現場へ浸透していないという側面も専門家から指摘されています。
このように活用のハードルが懸念される中、今後は新たに「仮名化情報(かめいかじょうほう)」という制度が法改正によって導入される見通しとなっています。これは他のデータと照合しなければ個人を特定できないように処理した情報です。企業内部でのデータ分析をより手軽に行えるようにする狙いがありますが、本人の同意がなければ第三者への提供は認められない見込みとなっています。だからこそ、自由度の高い「匿名加工情報」の価値が改めて見直され、企業の活用意欲を刺激することになるでしょう。
インターネットメディアの視点から言えば、この匿名加工情報の広がりは、日本企業の競争力を底上げする最大のチャンスだと確信しています。データのプライバシー保護を徹底することは大前提ですが、複雑な制度を恐れて二の足を踏んでいるのは非常にもったいない選択です。ノウハウの不足を補う専門人材の育成や、使いやすい加工ツールの普及が進めば、これまで眠っていた貴重な情報資源が次々と新しい価値を生み出し、私たちの生活をさらに豊かにしてくれるに違いありません。
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