激動の幕開けを迎えた2020年ですが、今年もビジネスのルールを大きく塗り替えるような法改正や規制緩和が目白押しとなっています。日本経済新聞社が実施した第15回「企業法務・弁護士調査」では、第一線で活躍する弁護士118人に対して今年注目すべき案件についてのアンケートが行われました。その結果、時代を映し出すリアルな課題が浮き彫りになっています。インターネット上でも「うちの会社も対応に追われている」「他人事ではない」といった声が溢れており、多くのビジネスパーソンがこの変化に高い関心を寄せているようです。
世界を揺るがす「個人データ保護規制」の波
グローバル展開を進める企業にとって、2020年1月13日時点で最も警戒されているのが「個人データ保護規制」です。2020年1月にはアメリカで「カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)」が施行され、さらには欧州の厳格なプライバシー規則や、中国におけるデータローカライゼーション(データを国内に保存することを義務付ける制度)など、世界中で独自の網が張られています。企業は新しいルールが誕生するたびに、システムの改修や運用の見直しといった臨機応変な防衛策を講じなければなりません。
SNSでは「CCPAの対象範囲が広すぎて対策が追いつかない」といった悲鳴に近い呟きも見られ、現場の混乱が伝わってきます。これからの時代、プライバシーの保護は単なる法令遵守ではなく、企業のブランド価値を左右する極めて重要な経営戦略になっていくでしょう。他国の動きをいち早く察知し、先手を打つ姿勢が今まさに求められています。
巨大IT企業への網の目と国際情勢の緊張
今回の調査で3位にランクインしたのが、GAFAに代表されるデジタル・プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業の規制問題です。彼らが保有する膨大なデータの独占を防ぐため、国内外で新たな規制の議論が活発化しています。これに伴い、現代のビジネスの心臓部とも言える「人工知能(AI)」の活用に関する法的議論にも注目が集まるでしょう。開発されたAIが差別的な判断をしないかといった、倫理的な観点も含めたルール作りはこれからの企業の命運を握るはずです。
さらに、依然として冷え込む米中貿易摩擦や、国内の改正外為法への懸念も根強く残っています。海外からの投資をコントロールする外為法の改正は、これからの外国人投資家の動きを大きく左右する可能性を秘めているのです。私たちはこうした国際情勢の緊張感から目を離すことができません。
国内ビジネスの常識が変わる!改正民法と会社法への備え
国内に目を向けると、2020年4月に施行を控える「改正民法(債権法)」が最大の焦点となっています。インターネット取引が当たり前になった現代の社会構造に合わせるため、実におよそ120年ぶりにお金や契約の関わりを定めたルールが刷新されるのです。特に連帯保証契約などの重要な契約で手続きに不備があると、ビジネスの継続自体が危ぶまれるほどの重大な損害を被りかねません。そのため、多くの企業が現在必死になって契約書のひな型をアップデートしています。
これに続き、上場企業に対して社外取締役の設置を義務付ける「改正会社法」も2位に入りました。株主総会の資料がオンラインで手軽に閲覧できるようになるなど、デジタル化へのシフトが鮮明になっています。ネット上でも「ついに紙の資料から解放される」と歓迎する声がある一方で、セキュリティ面を心配する声も少なくありません。
これからの企業が直面する経営課題とリーダーシップ
今後、企業から弁護士への相談が増えると予想される課題のトップは「海外を含むグループ会社の統治(42%)」でした。これに「個人情報保護(25%)」、「働き方改革をはじめとする労務管理と国際紛争(各24%)」が続いています。ネット上でも「国境を越えたリモートワークの労務管理が難しすぎる」というリアルな課題が拡散されており、企業の境界線が曖昧になる中で、いかに組織をガバナンス(統治)するかが問われています。
法改正は一見すると面倒なコストに思えるかもしれません。しかし、これらをピンチではなく、自社の体制を筋肉質に変える絶好のチャンスと捉えるべきです。コンプライアンス(法令遵守)を徹底し、社会から信頼される企業へと脱皮できた組織だけが、これからの不透明な時代を勝ち抜いていけるのではないでしょうか。
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