ファッション業界で、今まさに大きな地殻変動が起きています。これまで日本の婦人服売り場といえば、平均的な体形に合わせたMサイズを中心とした品ぞろえが当たり前でした。しかし最近では、ふくよかな体形や高身長の女性に向けた「プラスサイズ」と呼ばれるアパレル商品が、大きな注目を集めているのです。プラスサイズとは、標準よりも大きめの寸法を指す言葉ですが、決してネガティブな意味ではありません。ありのままの自分を愛そうというポジティブな価値観が、現代の女性たちに深く浸透し始めています。
インターネット上でもこの動きは熱く支持されており、SNSでは「ようやく自分に合う服が見つかった」「無理なダイエットから解放される」といった歓喜の声が溢れています。背景には、これまでのファッション界に対する根強い疑問がありました。厚生労働省が2017年に実施した調査によると、日本の20代女性の5人に1人が健康上のリスクを伴う「痩せすぎ」の状態にあることが判明しています。モデルのように細いことだけが美しいという偏った美意識が、過度なダイエットを助長してきたと言えるでしょう。
こうした状況に対して世界的な高級ブランドが「痩せすぎモデル」の起用を相次いで禁止するなど、美の基準は多様性を認める方向へシフトしています。アパレル企業にとっても、売れ残りによる廃棄リスクを恐れて標準サイズに固執する時代は終わりを告げました。消費者に商品を直接ネット販売する「D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」というビジネスモデルの台頭により、個々の体形に寄り添った多サイズ展開が比較的低コストで実現可能になったことも、この変化を力強く後押ししています。
実際の企業アプローチも本格化しており、水着メーカーのミューラーンでは、大人向けブランド「リベーチェ」で上下別売りの4サイズ展開を開始しました。これが2019年度には前年同期比で8割増の売り上げを記録し、確かな手応えを掴んでいます。また、月額制の洋服レンタルを行うエアークローゼットも、Lサイズから3Lサイズまでを網羅した専用プランを始動させました。プロのスタイリストが体形の悩みをカバーする着こなしを提案してくれるため、多くの女性から歓迎されています。
私はこの変化を、単なる一時的な流行ではなく、女性の生きやすさを広げる素晴らしい進歩だと確信しています。服のサイズに自分を合わせるのではなく、自分の体に服を合わせるという当たり前の自由が、ようやく日本でも定着し始めました。すでにアメリカでは約200億ドル規模にまで膨らんでいるこの市場ですが、日本でも今後さらに選択肢が広がっていくに違いありません。誰もが周囲の目を気にせず、自分らしいファッションを堂々と楽しめる社会の実現を、これからも応援していきたいものです。
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