日本の新興市場に、今まさに大きな地殻変動が起きています。2019年12月17日、作業服販売大手のワークマンが上場来高値を更新し、その時価総額は約8600億円という驚異的な数字を叩き出しました。かつてこの市場を牽引していたのはネット企業やソーシャルゲームの寵児たちでしたが、現在はその顔ぶれがガラリと入れ替わっているのです。
SNS上では「機能性とおしゃれを両立させたワークマンの進化が凄まじい」「ガチで利益を出している企業が評価されるのは健全」といった好意的な声が溢れています。投資家たちの視線は、夢や将来性といった「期待値」だけでなく、現実に裏打ちされた「稼ぐ力」へと明確にシフトしており、堅実なビジネスモデルを持つ企業が再評価される時代が到来しました。
「夢」より「利益」?投資家が求めるリアルビジネスの強み
現在の新興市場(ジャスダックや東証マザーズ)で時価総額上位に君臨しているのは、1位のワークマンを筆頭に、2位の日本マクドナルドホールディングス、6位のセリアといった「小売り」を主軸とする企業群です。これらは「リアルビジネス」と呼ばれ、実際に店舗を構えて顧客にサービスや商品を提供する分かりやすい収益構造が最大の特徴となっています。
ここで言う「時価総額」とは、企業の価値を金額で表した指標で、「株価×発行済株式数」で計算されるものです。かつては楽天やガンホー・オンライン・エンターテイメント、ミクシィといったIT・ゲーム企業がランキングを席巻していました。しかし現在は、実店舗で着実に収益を積み上げる勝ち組企業が、市場の信頼を勝ち取っていることがわかります。
一方で、2018年に上場して大きな注目を集めたメルカリのような企業は、赤字が続いていることで株価の低迷を余儀なくされています。AIやロボットといった最先端のテーマは魅力的ですが、ビジネスとして収益化(マネタイズ)できていない企業に対し、市場は以前よりも厳しい審美眼を持つようになりました。まさに「確かな成長」が求められるシビアな局面です。
編集者が見る、2019年の株価高騰が示す日本の未来
日経ジャスダック平均は、2019年12月までの間に11週連続で上昇するという、約7年9カ月ぶりの長期的な株高を記録しました。私自身、この現象は単なるバブルではなく、日本経済における「価値観の成熟」ではないかと考えています。派手な宣伝や期待感だけで株価が動く時代は終わり、生活に密着したサービスが正当に評価されるようになったのです。
例えばワークマンの「ワークマンプラス」に見られるような、既存の強みを活かした新業態への挑戦は、多くの消費者の共感を呼びました。単に安いだけでなく、高い機能性を求める現代人のニーズを的確に捉えたことが、今回の時価総額首位という結果に繋がったのでしょう。着実な一歩を刻む企業が報われる市場のあり方は、非常に健全であると感じます。
2019年12月20日時点のデータを見ても、トップを走り続けたマクドナルドからワークマンへと王座が引き継がれたことは、象徴的な出来事と言えるでしょう。ITインフラが整った今、その基盤の上でいかに「リアルな価値」を提供できるかが、今後の企業成長の鍵を握ることは間違いありません。新興市場の主役交代劇から、目が離せそうにありません。
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