1989年12月31日、日本経済がバブルの絶頂にいたあの日、世界の時価総額ランキング上位100社のうち、約半数を日本企業が独占していました。しかし、2019年12月15日現在の状況に目を向けると、そのリストに残っているのはトヨタ自動車わずか1社のみという厳しい現実に直面しています。
世界では絶え間ない技術革新や大胆な事業再編を武器に、巨大企業がさらなる高みへと成長を続けています。これに対し、日本を代表する企業群は、成長の勢いが早期に衰えてしまう「成熟」の罠に陥っているようです。SNSでも「かつての輝きを取り戻してほしい」といった、期待と焦燥が入り混じった声が数多く寄せられています。
時価総額10兆円に立ちはだかる見えない壁
日本企業には、時価総額が1,000億ドル、日本円にして約10兆円という大台に達する前に勢いを失ってしまう傾向があります。データによると、時価総額1兆円を超えた企業のうち、5兆円まで到達できるのは2割存在しますが、10兆円の壁を突破できるのはわずか3.9%に過ぎません。
ここで言う「時価総額」とは、企業の価値を金額で表したもので、株価に発行済株式数を掛けて算出されます。これは単なる数字ではなく、その企業の将来性に対する世界からの「期待値」そのものです。米国では86社、欧州でも53社がこの壁を越えている中で、日本はわずか8社に留まっており、この差が日本株全体の重荷となっているのでしょう。
なぜ日本企業は早く「成熟」してしまうのか
専門家の分析によると、企業の収益力を示す指標であるROA(総資産利益率)は、日本企業の場合、設立から10年ほどで低下し始める傾向にあります。ROAとは、会社が持っている資産を使ってどれだけ効率よく利益を上げたかを示す「稼ぐ力のモノサシ」ですが、これが早期に下がるのは、経営資源の入れ替えがスムーズに行われていない証拠と言えます。
米国企業が10%以上の高い水準を維持し続けられるのは、不採算部門を果敢に切り離し、成長分野へ集中投資する「選択と集中」を徹底しているからです。例えば、米P&Gは有名ブランドを売却してまで得意分野を絞り込み、時価総額を3倍に伸ばしました。日本企業も、過去の成功体験に縛られず、古い事業を脱ぎ捨てる勇気が必要なのかもしれません。
復活への兆しと編集部が考える「攻め」の視点
明るいニュースもあります。ソニーは家電事業を縮小し、画像センサーなどの成長分野にリソースを集中させたことで、2019年には18年ぶりの高値を記録しました。このように、非中核事業を切り出し、強い分野をさらに伸ばす「メリハリの利いた経営」が広がりつつあります。
私は、日本企業が再び世界を席巻するためには、組織の「新陳代謝」を加速させることが不可欠だと考えます。安定を求めるあまり投資を躊躇するのではなく、圧倒的な参入障壁を築くための「攻めの投資」こそが、投資家を惹きつける魅力になるはずです。新設される「プライム市場」が、単なる看板の掛け替えではなく、真に競争力のある企業が集まる場となることを切に願っています。
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