2018年にJリーグ史上初となる元日本代表選手からのクラブ社長就任を果たした「ミスターセレッソ」こと森島寛晃氏。2019年10月16日、就任から約1年が経過した今、彼が見据えるクラブの未来像が明らかになりました。かつてピッチで輝いたヒーローは、現在、経営という新たなフィールドで、セレッソ大阪をさらなる高みへと導こうと奔走しています。
現役引退後、アンバサダーとして活動していた森島氏にとって、社長就任の打診は青天の霹靂だったそうです。当初は戸惑いから固辞したものの、ヤンマー時代から28年間にわたり苦楽を共にしてきたクラブへの深い愛情が、最終的に彼の背中を押しました。「自分だからこそできることがある」という強い決意のもと、新たなキャリアをスタートさせたのです。
地域密着から生まれる「応援の輪」と教育への貢献
森島社長が最も重きを置いているのが、ホームタウンとの深い繋がりです。スタジアムが位置する大阪市東住吉区の長居周辺にとどまらず、大阪市全域や堺市へと応援の熱量を広げるため、自ら旗振り役を務めています。クラブが地域に浸透し、日常の一部となることこそが、スタジアムへ足を運んでもらうための最大の「伸びしろ」であると確信しているからです。
特筆すべきは、2019年9月に展開された「読書手帳」プロジェクトです。これは大阪市内の小学生約12万人に、読書の記録を付けられる手帳を配布する試みです。民間企業と連携し、読んだ本の数に応じて観戦チケットなどを贈呈する仕組みは、単なるプロモーションを超えた教育支援といえます。子供たちの思い出にクラブが寄り添うことで、共に成長する姿を目指しています。
SNS上では、こうした地道な活動に対し「モリシが商店街を歩いているだけで元気が出る」「地域を大切にする姿勢に感動した」といった好意的な声が溢れています。元スター選手が自らビラを配り、市民と触れ合う泥臭い営業スタイルは、大阪特有の「親しみやすさ」と見事にマッチし、サポーターとの距離を一気に縮める原動力となっているようです。
世界を視野に入れた「発信力」と育成のプライド
森島社長は、セレッソを「世界と繋がるクラブ」にしたいと考えています。かつて在籍した香川真司選手のような世界レベルのタレントを輩出してきた自負は、クラブの大きな価値です。若手を育て、世界へ送り出す「育成型クラブ」としてのブランドを確立しつつ、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の常連となることで、アジア圏での存在感を高める狙いです。
一方で、自身の発信力については「現役時代から体型が変わったから」と謙遜する場面も。2002年6月14日のW杯チュニジア戦、長居スタジアムで決めた伝説のゴールは今も語り草ですが、ファンから「あのダイビングヘッドは凄かった」と、実際は足で決めた得点を勘違いされることもあると笑います。そんな親しみやすい人柄こそが、今のセレッソを支える最大の武器かもしれません。
編集者の視点として、元アスリートが経営のトップに立つことは、現場の熱量と組織運営を直結させる大きな強みだと感じます。森島社長の挑戦は、スポーツの枠を超え、大阪という街全体を活性化させる可能性を秘めています。地域に愛され、世界に羽ばたく。そんな「セレッソ・ウェイ」の具現化に、これからも目が離せません。
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