北海道札幌市の中心部で、長年にわたり地域を見守り続けてきた巨大な建造物が、今まさにその歴史に幕を閉じようとしています。北海道ガスグループの本社ビル敷地にそびえ立つ、赤と白の鮮やかなコントラストが印象的だった巨大煙突の解体工事が着々と進行中です。かつては遠くからでも一目でそれと分かるほど圧倒的な存在感を放ち、周辺住民にとっても馴染み深いランドマークでした。この地域の象徴が少しずつ姿を消していく様子に、寂しさを覚える市民も少なくないでしょう。
この煙突の歴史を紐解くと、1972年に開催された札幌冬季オリンピックの success(成功)を影で支えた、非常に重要な役割が見えてきます。高度経済成長期の当時、都市部では深刻な大気汚染が大きな社会問題となっていました。そこで札幌市は、街の空気を守るための画期的なクリーン作戦を敢行したのです。その切り札となったのが、この煙突を含む大規模な施設でした。当時の最先端技術を結集したプロジェクトが、札幌の美しい空を守る礎となったわけです。
ここで導入されたのが、専門用語で「地域熱供給(地域暖房)」と呼ばれる画期的なシステムです。これは、1カ所の集中プラントで製造した高温水などの熱媒体を、地下に張り巡らせた配管を通じて周辺のビルや街区全体に効率よく送り届ける仕組みを指します。各ビルが個別に石炭や重油の暖房設備を使って煙を出す必要がなくなるため、都市環境を劇的に改善できるメリットがあります。このシステムのおかげで、札幌は見事に澄み切った青空を取り戻すことができました。
役目を終えた煙突は、2019年08月から本格的な取り壊し作業がスタートしています。驚くべきはその工法で、なんと巨大な上部から輪切りにするように切断・分割し、そのまま煙突の内側へと破片を落としていくスマートな方法が採用されました。このおかげで、周囲に粉塵や騒音の被害を最小限に抑えながら安全に作業が進められています。かつて90メートルもの高さを誇った巨体は、すでに40メートルほどにまで縮んでおり、2020年03月末には完全に撤去される予定です。
この解体ニュースに対し、SNS上では「子供の頃から見ていた景色が変わってしまうのは寂しい」「札幌の青空の歴史を支えてくれてありがとう」といった、感謝と郷愁が入り混じった温かい声が数多く寄せられています。一つの時代が終わりを告げる瞬間を、多くの人々がそれぞれの思い出とともに見守っていることが伝わってきます。時代の変化とともに街の景色が変わるのは必然ですが、人々の心に刻まれた記憶が色褪せることはありません。
私個人の意見として、この解体は単なる建造物の消滅ではなく、札幌が新たな未来へと歩み出すためのポジティブな新陳代謝であると捉えています。環境先進都市としてのルーツを築いたこの場所が、本社ビルの建て替えによってどのように生まれ変わるのか、非常に楽しみでなりません。かつて煙突が守った美しい青空の下、これからの新しい時代にふさわしい、持続可能で魅力的な街づくりがさらに加速していくことを切に願っています。
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