全国で最も電気料金が高いと言われる北海道で、今まさにエネルギー業界の勢力図が激変しようとしています。その中心にいるのが、北海道ガス(北ガス)です。同社が展開する電力小売り事業の伸びが著しく、多くの道民から熱い視線を集めています。
インターネット上でも「北ガスに切り替えて光熱費が浮いた」「セット割がお得すぎる」といった喜びの声が続出しており、SNSでの反響も上々です。2019年9月30日時点での販売件数は15万7000件に達し、前年比で26%もの大躍進を記録しました。
この快進撃の理由は、同社が先回りして整えてきた「自前の発電設備」にあります。2019年度には、供給する電気の6割強を自社グループの施設で生み出す見通しを立てており、市場の価格変動に左右されない強固な基盤が強みです。
2018年10月には石狩市で液化天然ガス(LNG)火力発電所が稼働し、2019年7月には本社の地下にある札幌発電所も営業運転を始めました。このように都市ガス事業のノウハウを活かした効率的なエネルギー生産体制が、低価格な電気の安定供給を支えています。
さらに注目したいのは、地球に優しい「再生可能エネルギー」への積極的な投資です。バイオマス発電や大規模な太陽光発電所(メガソーラー)を保有しているほか、2020年には風力発電ビジネスへの参入も決定しています。
地方で生まれたエネルギーをその地域で消費する「地産地消」の仕組み作りは、北海道の未来にとって非常に価値ある挑戦だと私は確信しています。人口減少が進む地域社会において、持続可能なエネルギー網を構築することは最優先の課題でしょう。
ライバルも必死!激化する北電とのシェア争いの行方
北海道電力(北電)が泊原子力発電所の停止後に値上げを行ったことで、道内の電気料金は高止まりが続いていました。これを受けて2016年の電力小売全面自由化以降、割安な「新電力」へ切り替える動きが一気に加速しています。
新電力とは、従来の旧大手の電力会社とは異なり、新しく電気の販売に参入した事業者のことです。道内における新電力のシェアは2019年8月時点で21%に達し、全国平均の16%を大きく上回る異例の激戦区となりました。
もちろん王者である北電も黙って指をくわえているわけではありません。同社は「ゼンリョク宣言」を掲げた大規模な広告キャンペーンを展開し、他社へ流出した顧客を奪い返そうと必死の巻き返しを図っています。
かつて道内の家庭の暖房や給湯は、5割以上が灯油に依存していました。北ガスはこの厳しい環境で営業力を磨き続けてきたからこそ、電力自由化というチャンスで見事なスタートダッシュを決められたのではないでしょうか。
北ガスの大槻博社長は「電源をどう整備するかに尽きる」と言明しており、今後は固定価格買い取り制度(FIT)の満了を迎えた家庭用太陽光などの余剰電力を買い取る計画も進めています。両者の熱いシェア争いから、今後も目が離せません。
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