中東地域の緊迫した情勢が続くなか、日本の未来を左右する大きな動きがありました。2020年1月11日、情報収集の任務を担う海上自衛隊の「P3C」哨戒機2機が、沖縄県の海自那覇航空基地から現地へと飛び立ったのです。さらに2020年2月2日には護衛艦も出航する予定となっています。
世界各国が原油の中東依存度を下げる努力を続ける一方で、我が国の原油輸入の約9割は依然としてこの地域に頼っています。そのため、中東から日本へとつながる重要な海上輸送ルートである「シーレーン」において、船舶の航行安全を確保することは、私たちの生活を維持する上で決して避けては通れない最優先の課題と言えるでしょう。
今回派遣された「P3C」哨戒機とは、広い海を空から監視し、潜水艦や不審な船を見つけ出す能力に優れた航空機のことです。この哨戒機は2020年1月20日から現地での活動を開始する手筈となっており、不審な船舶を発見した際には無線で呼びかけを行うなどして、周囲の安全に目を光らせます。
活動の拠点となるのは、アフリカ東部に位置するジブチの自衛隊基地です。哨戒機の航続距離は約6700キロメートルであり、現地をくまなく飛行するために今回は活動海域の西側を中心としたエリアを担当することになりました。限られた条件のなかで、隊員たちは極めて重要な任務へと臨みます。
SNS上ではこの派遣に対して「私たちのエネルギーを守るために危険な地域へ赴く隊員たちに感謝したい」という応援の声が多く寄せられています。その一方で「現地の緊張が高まるなかで、本当に安全は確保されているのか」といった、隊員の身を案じる不安や懸念の投稿も目立ち、世論の関心の高さが窺えました。
河野太郎防衛相は那覇基地での記者会見において「関係諸国から日本の取り組みに対する否定的な意見は一切ない」と強調し、全幅の信頼を寄せて隊員たちを送り出しました。また、透明性を確保する観点から、現地での活動記録をしっかりと日報の形で残していく方針も明らかにしています。
今回の活動エリアは、オマーン湾やアラビア海北部、アデン湾の3海域における公海のみに限定されています。緊迫の度合いが強いイラン近海のホルムズ海峡やペルシャ湾は含まれていません。しかし、予期せぬトラブルや突発的な事態に巻き込まれる危険性は常に隣り合わせであると言えます。
政府がこの派遣を閣議決定したのは2019年12月27日のことです。これに先立ち、当時の安倍晋三首相は来日したイランのロウハニ大統領に対して直接方針を説明しました。アメリカが主導する有志連合とは一線を画した、日本独自の取り組みであることを丁寧に伝えることで、事前に理解を得ていた経緯があります。
しかし年が明けると事態は急変しました。米軍によるイラン革命防衛隊司令官の殺害や、イランによる在イラク米軍基地への報復攻撃が相次いだのです。アメリカのトランプ大統領がさらなる軍事衝突を望まない姿勢を示したことで一時は沈静化したものの、現地には依然としてピリピリとした空気が漂っています。
専門家である北海道大学の鈴木一人教授は、今後さらに緊張が高まる可能性を指摘した上で「このような局面だからこそ、現地の詳細な情報を直接把握するために自衛隊が近隣で活動することには、確かな意義がある」との見解を示しており、情報収集の重要性が改めて浮き彫りになっています。
続いて派遣される第2陣の護衛艦「たかなみ」は、2020年2月2日に海自横須賀基地を離れ、2月下旬から現地での活動に加わる見通しです。今回の自衛隊の任務は、防衛省設置法が定める「調査・研究」という位置づけですが、万が一の事態への備えもなされています。
もしも日本関係の船舶が攻撃されるような緊急事態が発生した場合には、自衛隊法の「海上警備行動」を発令してしかるべき保護を行います。ただし、武器を使用して船舶を守る行為は法律上、日本籍の船に限られるという制約があり、運用面での慎重な判断が求められることになるでしょう。
筆者の意見として、私たちが毎日当たり前のように使っている電気やガソリンが、こうした自衛隊の命懸けの活動によって支えられているという事実に、もっと目を向けるべきだと強く感じます。単なる政治的な議論にとどまらず、エネルギー安全保障の現実を国民全体で直視していく必要があります。
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