マツダが描くU字回復に黄色信号?「マツダ3」北米苦戦の真相と次世代ラージ戦略の行方

自動車業界に激震が走っています。マツダが描いていた業績の「U字回復」シナリオに、早くも黄色信号が点灯しました。期待の星として市場に投入された小型車「マツダ3」が、主戦場である北米市場で想定以上の大苦戦を強いられているためです。2020年01月06日に広島市内のホテルで開催された新年祝賀の席で、丸本明社長は「2022年からの本格的な成長に向けた足場固めの2年目」と決意を語りましたが、その足元は揺らいでいます。

マツダの中期経営計画では、トヨタ自動車と共同出資するアメリカの新工場立ち上げや研究開発費の負担が重なる2020年03月期と2021年03月期を業績の「底」と位置づけていました。投資が一巡する2022年03月期からV字ならぬU字の反転攻勢をかけ、2025年03月期には売上高約4兆5000億円、営業利益2250億円以上を目指す壮大な計画です。しかし、現在の売上高営業利益率は1%台に低迷しており、目標達成へのハードルは高まっています。

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高級路線への挑戦と北米市場の厳しい現実

苦境を打破する切り札としてマツダが賭けるのが、新シリーズ「ラージモデル」です。これは直列6気筒という大型エンジンを搭載し、高級車に多く見られる後輪駆動(FR)を採用した上位車種を指します。一般的な前輪駆動に比べて高い走行性能や滑らかな加速が魅力で、マツダはこれによって大衆車との価格競争から脱却し、利益率の高い「プレミアムブランド」への転換を狙っています。SNSでも「マツダのFR化は胸熱」「高級感がある」と車好きの期待を集めていました。

しかし、現実の戦略は空回りしています。2019年03月に価格を約1割引き上げて投入した「マツダ3」は、アメリカでのセダン市場縮小の波に飲まれました。ブランド価値を高めるために値引きを抑える戦略でしたが、背に腹は代えられず、2019年秋には実質的な値下げやインセンティブ(販売奨励金)の引き上げに踏み切っています。ネット上では「強気の価格設定が裏目に出た」「マツダにそこまでの高級感を求めていない」といった厳しい声も目立ちます。

計画修正を迫られるラージモデル戦略と未来への展望

北米での大苦戦は、本命であるラージモデルの計画にも影を落としました。当初は2021年から投入し、2024年03月期には世界販売の4割を占める計画でしたが、発売時期を2023年03月期へと後ろ倒しすることを発表したのです。販売目標も「緩やかな伸び」へと下方修正されました。これにより、企業のキャッシュ創出力を示すフリーキャッシュフロー(純現金収支)の悪化が懸念されており、株価も年間で17%下落するなど市場の視線は冷ややかです。

ただ、筆者はマツダのこの挑戦を単なる「失敗」で片付けるべきではないと考えます。かつてリーマン・ショック後に赤字に苦しんだ同社は、独自技術「スカイアクティブ」で奇跡の復活を遂げました。今回のマツダ3にも次世代エンジン「スカイアクティブX」が搭載されており、その高い志と方向性は間違っていません。自動車産業が激変する今だからこそ、目先の値引きに頼らず、次世代ラージを最適な価格で届ける決断ができるかどうかが運命の分かれ道です。

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