日本中を深い悲しみに包んだ京都アニメーション第1スタジオでの放火殺人事件から数ヶ月が経過しました。この未曾有の惨事において、仕事中に命を落とされた社員の皆様や負傷された方々を巡り、大きな動きが見られています。2020年1月15日、複数のご遺族への取材によって、死亡した社員らの労働災害、いわゆる「労災」が正式に認定され、国からの補償金の支給が始まったことが明らかになりました。過酷な現実と向き合うご遺族への経済的な支えが、ようやく形になり始めています。
実際に労災を申請していたご遺族のお話によると、2019年11月にはすでに支給決定通知書が手元に届いており、一部の補償金は指定の口座へ振り込まれているとのことです。今回の迅速とも言える決定に対して、SNS上では「当然の権利とはいえ、少しでもご遺族の痛みが和らぐことを願う」「国がしっかりと動いてくれて安心した」といった、安堵や同情の声が数多く寄せられています。突然奪われた命や健やかな日常に対する補償は、残された人々にとって極めて重要な意味を持ちます。
そもそも「労災」とは、労働者が業務中や通勤途中に負傷したり、病気になったり、あるいは死亡したりした場合に、国が相応の補償を行う制度のことです。京都労働局の解説によれば、今回のケースのように制度が適用されるには、2つの高いハードルを越えなければなりません。それが、仕事中であったかを示す「業務遂行性」と、業務が原因で被災したかを見極める「業務起因性」という専門基準です。これらが揃って初めて、労働基準監督署による支給の検討がなされます。
あの凄惨な事件では、建物内にいた社員70人のうち、36人もの尊い命が失われ、33人が重軽傷を負うという、凄まじい被害が発生しました。京都労働局は個人情報の保護を理由に、具体的な認定件数や詳しい進捗状況を公表していません。また、京都アニメーション側の代理人弁護士も「現状では労災認定の事実を把握していない」とコメントしています。企業側が関与しきれない部分でも、国のセーフティネットが個別に遺族を救おうと機能している様子が窺えます。
理不尽な犯罪被害に倒れた労働者を守る動きは、過去の重大事件を契機に国内で法整備と適用が進んできました。1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件では、通勤や業務中に被害に遭った人々へ労災が適用され、認定の大きな転換点となっています。さらに、2001年5月8日の武富士弘前支店放火殺人事件でも、犠牲となった従業員らの労災が認められました。今回もこれらの先例に基づき、不条理な暴力に巻き込まれた被害者が正当に救済されたと言えるでしょう。
編集部としては、このような悲劇的な事件において労災が迅速に認められたことは、日本の労働者保護の観点から非常に意義深い決断であると考えます。どれほど手厚い金銭的補償がなされたとしても、奪われたクリエイターの未来やご遺族の深い心の傷が完全に癒えるわけではありません。しかし、理不尽なテロ行為の恐怖に脅かされることなく、すべての働く人々が安心して労働に邁進できるよう、国が毅然としたセーフティネットを示し続ける姿勢は今後も不可欠です。
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