東京外国為替市場において、オーストラリアの通貨である豪ドルが急激に値を下げています。2020年01月28日、対円で一時1豪ドル=73円40銭前後を記録し、約2カ月半ぶりの低水準となりました。この急落の背景にあるのは、世界中を震撼させている新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大です。SNS上でも「豪ドルがどこまで下がるのか不安」「旅行の計画に影響が出そう」といった悲鳴や、今後の展開を注視する声が多数上がっています。
なぜ中国の感染症がオーストラリアにこれほど大きな影響を与えるのでしょうか。実は、オーストラリアにとって中国は石炭や鉄鉱石といった主要資源を大量に買い取ってくれる最大の輸出相手国だからです。中国政府は2020年01月27日に、春節と呼ばれる旧正月の大型連休を2020年02月02日まで延長することを決定しました。これにより工場の操業停止が長引き、中国の製造業全体に大きなダメージとなる懸念が強まっています。
専門家の分析によると、中国経済が失速すればオーストラリアの輸出産業も直撃を受けるのは確実視されています。さらに、中国からの観光客が激減することも予想され、二重の苦しみに直面している状況です。また、オーストラリア国内で猛威を振るう大規模な森林火災も、経済の先行きに暗い影を落としています。こうした不都合な要因が重なり、投資家たちがリスクを避けるために豪ドルを売る動きに拍車がかかっているのです。
これを受けて、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が2020年02月にも利下げ、つまり政策金利を引き下げるのではないかという見方が急速に強まりました。金利が下がるとその通貨の魅力が薄れるため、ロンドン市場でもさらなる豪ドル安が進む場面が見られています。新型肺炎がもたらす実体経済への悪影響は現時点で見通すことが難しく、市場の関係者からは当面は豪ドルの下落基調が続く可能性が高いという指摘もなされています。
今回の通貨急落は、グローバル社会における経済の繋がりを改めて浮き彫りにしたと言えるでしょう。一国の健康被害が、瞬く間に海を越えて他国の経済や通貨価値を揺るがす恐怖を私たちは目の当たりにしています。オーストラリア経済がこの難局をどう乗り切るのか、そして世界経済への二次感染をどのように防ぐのか、政府や中央銀行の手腕が試されています。今後の動向から一刻も目が離せない状況が続きそうです。
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