2018年09月06日に発生した北海道胆振東部地震は、私たちの暮らしに甚大な被害をもたらしました。その中でも特に深刻な状況に置かれていたのが、自宅で医療機器を使用しながら生活する方々です。札幌市はこのほど、在宅酸素療法(HOT)や人工呼吸器を必要とする患者さんを対象に、当時の行動に関するアンケート調査の結果を公表しました。それによると、実際に避難行動を起こした人は回答者全体の2割に満たなかったことが2019年07月08日までに明らかになっています。
在宅酸素療法(HOT)とは、高度な呼吸不全を抱える患者さんが、専用の濃縮装置や液体酸素ボンベを使って、家庭内で不足している酸素を補う治療法を指します。生命を維持するために不可欠なこのシステムですが、その多くは家庭用コンセントからの電力供給によって稼働しています。地震によるブラックアウト、つまり北海道全域におよぶ大規模な停電が発生したことで、多くの利用者が「命の綱」である電源を失うという極めて危険な事態に直面したのでした。
調査結果から見えてきたのは、避難を断念せざるを得なかった切実な背景です。停電によってマンションなどのエレベーターが停止してしまい、重い酸素ボンベを抱えて階段を降りることが困難だったという声が目立ちます。さらに、ようやくの思いで避難所に辿り着いたとしても、そこで確実に電源を確保できる保証がないという不安が、多くの患者さんを自宅に留まらせる要因となりました。避難先での受け入れ態勢が整っていない現状が、浮き彫りになったと言えるでしょう。
SNS上では、このニュースに対して「他人事ではない」という切実な反響が広がっています。同じような疾患を抱える家族を持つユーザーからは、「停電時のバックアップ電源を個人で用意するには限界がある」といった悲鳴や、「避難所のコンセント争奪戦になるのが目に見えていて怖い」といった率直な意見が寄せられました。また、健康な人たちからも「どの避難所に電源があるのか、マップ化が必要だ」といったインフラ整備の遅れを指摘する声が相次いでいます。
命を守るインフラの再構築に向けて
情報不足やサポート体制の不備も、避難を妨げる大きな壁となっています。どこへ行けば安全に医療機器を使い続けられるのかという具体的な指針が、当事者まで十分に届いていなかった事実は重く受け止めるべきです。私は、災害大国である日本において、こうした医療的ケア児者や高齢者の安全を確保することは、単なる福祉の問題ではなく、最優先されるべき危機管理の要であると考えます。自宅待機以外の選択肢が持てない社会は、あまりに脆弱ではないでしょうか。
今後の課題として、医療機器に特化した電源供給が可能な「福祉避難所」の拡充とその周知が急務となります。また、自治体だけでなく、近隣住民による移動のサポート体制を平時から構築しておくことも欠かせません。一人ひとりが災害時に「誰がどこで電源を必要としているか」を想像できる社会を目指さなければなりません。2019年07月08日に提示されたこの課題を、一過性のニュースとして終わらせるのではなく、具体的な対策へと繋げていくことが、将来の命を守ることに繋がるはずです。
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