キヤノン、デジカメ大減速で純利益51%減!「第二の創業」へ医療・監視カメラの“4本の矢”で挑む大転換劇の行方

長年にわたりカメラ界の絶対王者として君臨してきたキヤノンが、今、歴史的な岐路に立たされています。2020年01月29日に発表された2019年12月期連結決算は、純利益が前の期と比べて51%減の1251億円に激減しました。これはリーマン・ショック直後以来、実に10年ぶりの低水準という衝撃的な結果です。世界的な景気減速も逆風となりましたが、最大の要因はスマートフォンの普及によるデジタルカメラ市場の急激な縮小と、オフィス向け事務機の需要減にあります。

この劇的なニュースに対し、SNS上では「ついにカメラの時代が変わるのか」「スマホの画質がここまで上がればデジカメが売れなくなるのも無理はない」といった時代の流れを実感する声が相次いでいます。その一方で、「キヤノンならきっと新しい技術で巻き返してくれるはず」と、同社の高い技術力に期待を寄せるファンの熱いエールも数多く見られました。人々のライフスタイルの変化が、大企業の経営をこれほどまでに揺るがしている現状が浮き彫りになっています。

しかし、キヤノンはこの危機をただ手をこまねいて見ていたわけではありません。カリスマ経営者である御手洗冨士夫会長は、主力のカメラ事業が好調だった2000年代半ばから、すでに次の時代を見据えた種まきを進めていました。同社はこれまで、巨額の資金を投じて企業の合併・買収を意味するM&A(エムアンドエー)を積極的に敢行し、ビジネスモデルの構造改革を急ピッチで進めています。

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復活の鍵を握る「4本の矢」!医療と監視カメラで世界を狙う

キヤノンが「第二の創業」の柱として掲げるのが、医療機器、監視カメラ、商業印刷、そして産業機器という「4本の矢」と呼ばれる新規事業群です。御手洗会長は、2021年12月期から始まる次期中期経営計画の中で、これら新規事業の売上比率を現在の約25%から5割以上にまで引き上げるという大胆な目標を掲げています。既存のカメラや事務機に頼る体質から脱却し、全く新しい会社へと生まれ変わろうとしているのです。

なかでも最大の期待を背負うのが、東芝の医療子会社を買収して強化した医療機器事業です。キヤノンは2019年末にグループ内の医療関連業務を集約し、世界最大の市場である米国での攻勢を強めています。現在は数パーセントにとどまる画像診断装置の米国シェアを数年内に10%超へ拡大することを目指しており、先行する海外の巨大ライバル企業を激しく追い上げています。

また、もう一つの有望株が監視カメラ事業です。キヤノンが長年培ってきた精密なレンズなどの光学技術に、買収によって獲得した最新のITネットワーク技術を融合させました。映像の中から特定の対象を瞬時に見つけ出す高度なシステムにより、価格競争を仕掛ける中国勢との差別化を図っています。この防犯カメラシステムは、駅や空港といった公共空間からスポーツ会場まで、幅広い分野での導入が進むでしょう。

先進企業に遅れをとる株価、真の変革に向けた編集部の視点

希望の光は見えますが、株式市場の目線は依然として慎重です。競合のオリンパスや富士フイルムホールディングスが、いち早く医療分野へ経営資源を集中させて最高益を見込むなど株価を急上昇させているのに対し、キヤノンの株価の動きは鈍いのが現状です。市場からは「本当に新規事業がこれまでのカメラほどの利益を稼ぎ出せるのか」という根強い不安の声も聞こえてきます。

発表された2020年12月期の業績見通しでは、純利益が前の期比28%増の1600億円と V字回復を見込んでいます。それでも、先進的な医療機器に投じられている研究開発費の割合は全体の一割強にとどまっており、依然としてカメラや事務機の半分以下です。目標である新規事業の売上比率5割を達成するには、ここからさらに1兆円規模の売上を上積みする必要があり、決意に対する投資のスピード感にはやや物足りなさも残ります。

編集部としては、キヤノンの持つ「光を操る技術」は世界最高峰であり、医療や自動運転、AI監視社会において必須の武器になると確信しています。だからこそ、過去の成功体験であるデジカメの栄光に決別し、研究開発費や優秀な人材をさらに大胆に医療や産業機器分野へシフトすべきではないでしょうか。四半世紀にわたりトップに君臨する御手洗会長の「徹底的に投資する」という言葉が本物であるならば、今こそ真の覚悟が問われています。

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