1960年代のフランス映画界に金字塔を打ち立てた大ヒット作『男と女』を、皆様はご存じでしょうか。あの伝説のロマンスから52年という、信じられないほどの長い歳月を経て完成した正統なる続編『男と女 人生最良の日々』が、ついに2020年01月31日よりスクリーンに登場します。巨匠クロード・ルルーシュ監督のみずみずしい感性はそのままに、時を重ねたからこそ表現できる奥深い枯れ具合が加わりました。胸を締め付けられるような切ない感動と、やるせない哀愁が全編に漂う、まさに映画史に残る傑作の誕生です。
物語の舞台は、かつて希代の天才レーサーとして鳴らしたジャン=ルイが身を寄せる老人介護施設です。現在、彼はすっかり年老いて記憶が途切れがちになり、意識がかすむ日々を過ごしています。しかし、そんな彼の口からこぼれ落ちるのは、かつて激しく愛し合いながらも、自身の奔放な浮気癖が原因で手放してしまった最愛の女性、アンヌの思い出ばかりでした。父親の深い後悔と衰えを目の当たりにし、深く心配した息子のサクセスストーリーのような行動力が、奇跡のドラマを動かし始めます。
息子のアントワーヌは、アンヌの居場所を懸命に突き止めて直接会いに行き、どうか父親に会ってほしいと涙ながらに懇願するのです。その熱い真情に心を動かされたアンヌは施設を訪れ、二人はついに運命の再会を果たしました。ジャン=ルイは目の前にいる女性がアンヌ本人であることには気づきません。それでも彼女に向かって、今も胸の中で鮮烈に生き続ける「アンヌ」という名の女性への消えない恋心を語り始めます。切ない恋慕の情を聞いた彼女は、ある提案を優しく持ちかけるのでした。
アンヌが提案したのは、二人にとって特別な思い出の地であるノルマンディの海岸まで、車でドライブに出かけようという誘いでした。本作において、主演を務める名優二人が放つ圧倒的な存在感からは、一瞬たりとも目が離せません。アンヌ役のアヌーク・エーメは87歳という年齢を迎えながらも、言葉を失うほどの美しさを保ち続けています。あのシャープで鋭角的な顔のラインには、年齢という重力に決して屈することのない強い意志と、深く静かな落ち着きが刻み込まれていました。
一方で、ジャン=ルイを演じるトランティニャンの演技力も、驚くほど見事な輝きを放っています。一見すると椅子に腰掛けたままの、認知症が進行した高齢者に映るかもしれません。しかし、その瞳の奥には、老いてもなお失われない不良っぽさと、お茶目なユーモアがたっぷりと湛えられているのです。これぞ本物の役者だと唸らされるようなしたたかさが、スクリーンからあふれていました。劇中で描かれる、かつての名作の忘れられない名場面を織り交ぜた贅沢な演出には胸が熱くなります。
猛スピードの車でパリの街を駆け抜け、気づけば美しいノルマンディの海岸へと行き着くシーケンスの素晴らしさは、言葉になりません。「前にもこの時間を生きた気がする」と呟く彼に、「あなたの夢の中でね」と返す彼女の会話が絶品です。このやり取りこそが、作品全体の雰囲気を決定づける魔法のような役割を果たしています。本作は上映時間1時間30分の中に、限りなく優しい愛のファンタジーが凝縮された秀作と言えるでしょう。
映画史の奇跡にSNSも大熱狂!編集部が紐解く本作の真の魅力
ネット上でも「52年前と同じキャストで続編が観られるなんて奇跡」「スクリーンに映る二人の姿を見ただけで涙が出た」といった熱い反響が巻き起こっています。多くのファンが、この歴史的な瞬間に興奮を隠せない様子です。私自身、映画におけるシネマ・ベリテ(ありのままの現実を捉える撮影手法)の先駆者であるルルーシュ監督が、ドキュメンタリーのように二人の老いを見つめつつ、ここまで極上のロマンシズムへと昇華させた手腕に、深い敬意と感動を抱かずにはいられません。
本作は単なる過去の遺産に頼った同窓会的な作品ではなく、人間の記憶と愛の本質に迫る、現代の私たちへの贈り物です。人生の黄昏時に、なお輝き続ける愛の姿は、観る者すべての心を救ってくれるに違いありません。東京・有楽町のTOHOシネマズ シャンテをはじめ、全国の劇場にて本日よりロードショーが始まります。この冬、映画館の暗闇の中で、大人のための極上の愛のファンタジーに、ぜひどっぷりと浸ってみてはいかがでしょうか。
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