国内セメント首位の太平洋セメントが、新たな成長を求めて海外市場の開拓へ本格的に舵を切っています。2020年1月15日、同社の不死原正文社長が今後の展望を明かしました。東京五輪を控えるものの、建設業界の人手不足が影響して国内需要は伸び悩む見通しです。そこで同社は、2018年度からの3か年中期経営計画で掲げた成長投資枠の残り約1000億円を、2020年度中に集中投資する意欲を示しています。
特に注目が集まるのは東南アジア市場への進出です。すでに展開しているフィリピンやベトナムでの増産に加え、未開拓のインドネシアやマレーシアでは現地のセメント企業を買収する「M&A(企業の合併・買収)」も選択肢に入れています。SNS上では「1000億円規模の投資は凄まじい」「日本のインフラ技術で東南アジアの高度経済成長を支えてほしい」といった、ドラスティックな戦略に対する期待の声が数多く寄せられました。
環境問題への挑戦とCO2回収技術の未来
さらに同社は、持続可能な社会の実現に向けた環境投資にも注力しています。2050年までにセメント製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を8割削減する目標を掲げました。セメントの製造過程では原材料の化学反応などで大量のガスが発生するため、対策を怠れば環境配慮型の代替素材に市場を奪われかねないという強い危機感があるようです。三重県の藤原工場では、すでに高純度のCO2を分離して回収する実証実験に成功しています。
今後は回収したガスをメタノールなどのエネルギーへと変換する、高度な資源循環ビジネスも視野に入れています。こうした地球温暖化対策への積極的な姿勢に対しては、ネット上で「製造業としての社会的責任を果たす素晴らしい試み」「新エネルギーの創出に繋がれば面白い」と評価する意見が目立ちます。環境技術の確立は一朝一夕にはいきませんが、将来の大きな武器になることは間違いありません。
編集部の視点:未開拓市場での競争を勝ち抜くカギ
筆者は、今回の太平洋セメントの経営判断を非常に現実的かつ果敢な挑戦であると評価します。国内のセメント需要がピーク時の半分ほどに落ち込む中、現状維持にとどまるのは衰退を意味するからです。ただし、東南アジアの市場にはすでに強力な地元のライバル企業が根を張っており、価格競争や独特な商習慣の壁が立ちはだかります。巨額の投資を確実に果実へと変えるためには、迅速かつ確実な現地化戦略が求められるでしょう。
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