日本の貿易を支える重要な素材の動きに、今大きな変化が訪れています。財務省が2020年1月30日に発表した2019年12月の貿易統計確報によると、ある主要な化学物質の動きが世間の注目を集めました。それは、私たちが日常的に使用するスマートフォンやパソコンの頭脳となる、半導体の製造に欠かせない「フッ化水素」です。このフッ化水素の韓国への輸出量が、前月と比べて驚異的な伸びを記録したことが明らかになりました。
具体的な数字を見てみると、2019年12月における韓国へのフッ化水素の輸出量は793トンに達しています。これは前年の同じ月と比較すると73%ほど低い水準にとどまっているものの、2019年11月の実績と比べると、なんと838倍という爆発的な急増を遂げました。日本政府は2019年7月から、安全保障上の理由によって韓国に対する輸出の手続きを厳しく見直す「輸出管理の厳格化」を実施しています。
この厳格化の影響により、2019年8月には一時的に韓国向けの輸出量がゼロにまで落ち込んでいました。しかし、企業側が提出する申請書類を政府が一つずつ精査する「個別審査」を無事に通過する事例が、時間の経過とともに増えてきたとみられます。手続きの適正化が進んだことで、完全にストップしていた供給のラインが、ようやく少しずつ元の姿を取り戻し始めているのが現状と言えるでしょう。
ここで、半導体製造の現場において重要な役割を担う専門用語について解説します。「フッ化水素」とは、極めて高い純度が求められる無色の気体または液体であり、半導体の基盤となるウエハに付着した微細なゴミを取り除く「洗浄」の工程で使用される薬剤です。日本企業はこの高純度フッ化水素の生産において世界屈指の技術力を誇っており、他国での代替が非常に難しいと言われています。
SNSなどのインターネット上でも、この劇的な貿易量の変化は大きな話題となりました。「一気に数字が戻って驚いた」という純粋な驚きの声だけでなく、「審査をクリアすれば問題なく輸出できることが証明されたのではないか」といった冷静な分析も目立ちます。一方で、今後の日韓関係やサプライチェーンの安定性を不安視する意見もあり、官民を問わず関心の高さがうかがえます。
通年のデータに目を向けると、2019年の1年間における韓国向けのフッ化水素輸出量は、前年比で46%減少して1万9793トンとなりました。日本が世界全体に向けて送り出しているフッ化水素の総量は2万4560トンであり、そのうちの約81%を韓国市場が占めている計算になります。この高い割合を見ても、日本の素材産業と韓国の製造業がいかに密接に結びついているかが分かります。
産業のコメとも称される半導体のエコシステムにおいて、日韓両国が果たす役割は極めて大きいと考えます。輸出管理という政治的な枠組みのなかでも、ルールに基づいた健全な取引が維持されることは、世界のハイテク産業を守るためにも重要です。過度な摩擦を避けつつ、お互いの強みを活かした信頼関係が現場レベルで再び構築されていくことを、切に願ってやみません。
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