パラジウムとロジウムの供給不足はなぜ続く?2020年貴金属市場の見通しとプラチナ価格低迷の背景に迫る!

自動車産業やジュエリー業界で欠かせない存在となっている貴金属市場に、大きな激震が走っています。ドイツの精錬大手であるヘレウス社は、2020年1月31日に今年の貴金属需給に関する最新の見通しを公表しました。世界的な環境意識の高まりを受けて、自動車の排ガスをクリーンにするための触媒として使われるパラジウムやロジウムは、深刻な供給不足が続く見込みです。ネット上でも「車の価格に影響が出そう」「排ガス規制の強化は地球に良いけれど、素材不足は深刻だね」といった驚きや懸念の声が多数寄せられています。

パラジウムに関しては、2020年中に15トン以上の深刻な供給不足に陥る可能性が指摘されています。現在、世界的に自動車の年間販売台数自体は減少傾向にありますが、各国の環境規制が強化されたことで、1台あたりに使用されるパラジウムの量が増加しているのです。ここで言う「触媒」とは、排気ガスに含まれる有害物質を化学反応によって無害な成分へと変化させる、いわば「空気清浄機のフィルター」のような重要な役割を持つ物質を指します。規制対応のためにこの素材の需要が急増し、市場での争奪戦に拍車がかかっています。

さらに、希少価値の極めて高いロジウムも同様に厳しい状況を迎えています。主要な生産国である南アフリカ共和国で突発的な停電が発生した影響により、鉱山からの供給量が2018年と比較して4%ほど落ち込む見通しだからです。こうした供給網の混乱も重なり、ロジウムの市場価格は1トロイオンスあたり1万2000ドルという驚異的な高値まで跳ね上がる可能性が浮上しています。トロイオンスとは貴金属の計量に用いられる特殊な重量単位で、1トロイオンスは約31.1035グラムに相当します。

その一方で、かつて貴金属の代名詞だったプラチナ(白金)は、対照的に厳しい冬の時代を迎えています。ヨーロッパを中心にディーゼル車の人気が急落したことで工業用の需要が激減し、さらに宝飾品としての人気も低迷しているためです。2020年は31トンもの供給過剰に陥ると予測されており、価格の低迷は避けられない情勢でしょう。2019年には価格の割安感に目をつけた投資家たちが、投資信託の一種であるETF(上場投資信託)を大量に購入して市場を支えましたが、今年の投資ペースは一気に減速するとみられています。

今回の発表を受けて私自身が痛感したのは、環境対策の進展が予期せぬ形で産業界のサプライチェーンに負荷をかけているという現実です。地球を守るための排ガス規制強化が、特定のレアメタルの価格を暴騰させ、自動車メーカーの製造コストを圧迫する歪みを生み出しています。特定の金属だけに依存する現在の触媒技術から脱却し、より豊富に存在する代替素材の開発を急ぐべきではないでしょうか。クリーンな未来を実現するためには、素材の安定確保という足元の課題にも目を向ける必要があります。

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