ネット通販独走で明暗くっきり!アメリカ年末商戦2019に見る百貨店の苦境とこれからの小売業界

世界中が注目するアメリカの年末商戦が、2019年も大いに盛り上がりを見せました。全米小売業協会(NRF)の発表によると、2019年11月から12月にかけての売上高は、なんと7302億ドルに達したそうです。この数字は日本円に換算すると約80兆円という巨額な規模になります。前年同期比で4.1%増という結果は、事前の予測を上回る好調ぶりでした。雇用情勢の安定や賃金の上昇が、消費者の財布の紐を緩めたと言えるでしょう。

SNS上でも「アメリカの消費パワーはやっぱり凄まじい」「お祭り騒ぎの買い物の勢いが数字に出ている」といった驚きの声が多数寄せられています。2018年は政府閉鎖や株価の乱高下により、伸び率が2.1%にとどまり不穏な空気が漂っていました。しかし、2019年は見事にその不安を跳ね除け、アメリカ経済の底堅さを証明した形です。これだけを聞くと、小売業界全体が歓喜に沸いているように思えるかもしれません。

ところが、その内実を覗いてみると、激しい明暗がくっきりと分かれているのが現状です。今回の好景気を爆発的に牽引したのは、他でもないインターネット通販でした。ネット通販への支出は前年同期比で14.6%も増加し、1678億ドルへと大きく膨らんでいます。スマートフォンの普及や配送インフラの進化により、家から一歩も出ずに買い物を済ませるスタイルが完全に定着した証拠と言えるでしょう。

一方で、このネット通販の快進撃の煽りをまともに受けてしまったのが、実店舗を構えるリアル小売業です。特に百貨店勢の苦戦は深刻で、最大手のメーシーズでは2019年11月から12月の既存店売上高が0.6%減少してしまいました。さらにJCペニーにいたっては7.7%減、コールズも0.2%減と、軒並み前年の実績を割り込んでいます。華やかなクリスマスの装飾とは裏腹に、店舗のレジ前は寂しい状況だったようです。

このニュースに対し、ネット上では「百貨店に行ってもネットで同じものが安く買えるから、足が遠のくのは当然かも」「実物を見る場所になってしまっている」という冷静な分析が溢れていました。実店舗を運営する企業も、手をこまねいていたわけではありません。スマートフォンアプリの利便性を高めたり、ネット注文した商品を店頭で受け取れる仕組みを作ったりと、巨額のデジタル投資を続けてきました。

しかし、残念ながらその投資がすぐに売上という果実を結ぶまでには至っていません。専門店の動きを見ても、衣料品やアクセサリーが1.6%減、家電が2%減と、ネットで比較されやすいジャンルの落ち込みが目立ちます。これらはデジタルとリアルの融合を目指すオムニチャネル戦略の難しさを物語っているでしょう。ただ画面を便利にするだけでなく、店舗だからこその価値を再定義する必要があります。

私はこの結果を見て、日本の小売業界にとっても決して他人事ではない強い危機感を覚えました。便利さを追求するネット通販が勝つのは必然ですが、お買い物という行為には本来、五感で楽しむ体験の価値があったはずです。百貨店が生き残るためには、単に物を並べて売る場所から脱却し、そこでしか味わえないエンターテインメントや特別な接客を提供する場所へと進化していくべきではないでしょうか。

堅調なアメリカ消費の波に乗り切ることができなかったリアル店舗の苦悩は、2020年以降も大きな課題として引き継がれそうです。ネットに顧客を奪われる構図は当面続くとみられますが、この逆境を乗り越える革新的な店舗ビジネスの登場に期待したいところです。リアルとデジタルの主導権争いは、これからさらに激化していくに違いありません。

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