日本の大動脈を支え続けてきた独自のインフラ技術が、ついに世界最大の自動車大国へ羽ばたきます。中日本高速道路は2020年1月30日、アメリカに全額出資の新会社を立ち上げたことを明らかにしました。東名高速道路などの運営で培ってきた、インフラ(社会的基盤)の調査から日々の保守・点検にいたるまでの幅広いノウハウを海外へ輸出する方針です。国内における道路事業の成長が頭打ちになる中、同社は海外を次なる収益の柱にするべく、積極的な攻めの姿勢を見せています。
同日の記者会見に臨んだ宮池克人社長は、日本が誇る高い技術力を駆使して、海外での確かな収益につなげていきたいと力強く抱負を語りました。日本の高速道路の総延長が9300キロメートル強であるのに対し、アメリカは各州を結ぶ「インターステート・ハイウエー」を中心に約7万キロメートルものネットワークを有しています。今後もさらなる拡大が見込まれる一方で、現地では既存の道路や施設の老朽化が深刻な課題となっており、日本の緻密な技術が求められているのです。
新会社はテキサス州に拠点を置き、2020年2月1日から営業を開始する予定です。特筆すべきは、人工知能(AI)やITを活用した画像解析による、日本最先端の道路点検技術の外販やコンサルティング(課題解決への助言業務)を行う点でしょう。2021年3月期には1500万円の売上高を目指しており、2016年から現地へ職員を派遣して地道に市場調査を重ねてきた成果が、いよいよ具体的なビジネスとして形になり始めます。
中日本高速道路の海外展開は、今回のアメリカ進出だけに留まりません。すでにアジア圏では実績を積み重ねており、2019年12月からはフィリピンで高速道路の運営支援を行っています。さらに2020年1月には、日本の高速道路会社として初めて台湾でのサービスエリア運営事業に参入しました。ここでは年間5億円の売上高を目標に掲げているほか、2017年にはベトナムの建設会社の株式を取得し、現地の有料道路事業にも参画を進めている状況です。
質の高いインフラ輸出への期待と今後の課題
日本政府が進める「質の高いインフラ投資」の後押しを受け、同社は他社と共同で海外向けの新会社を設立するなど、官民一体での挑戦を続けています。私は、今回の先進国への進出は日本の技術のブランド力を証明する絶好の機会だと考えます。しかし、海外市場では中国や韓国のライバル企業も激しいシェア争いを繰り広げているのが現状です。技術の優位性を保ちつつ、コスト管理や為替変動のリスクを見極める総合的な経営力が、今後の成否を分けるでしょう。
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