2019年6月26日、関東財務局は、管轄する1都9県に本店を置く22銀行の2019年3月期決算の概要を公表いたしました。これは、地域金融機関の「今」を映し出す極めて重要なデータです。前年度は23行が集計対象でしたので単純な比較は難しいのですが、今回集計された22行の本業の儲けを示す実質業務純益(じっしつぎょうむじゅんえき)が、前期に比べ5%減の4,274億円という厳しい結果となりました。実質業務純益とは、銀行が預金を集め、融資や手数料ビジネスなどを行う「本業」によって得た利益から、人件費や物件費といった経費を差し引いたもので、金融機関の体力を測る重要な指標でございます。
この業務純益の減少の最大の要因として挙げられるのは、長引く低金利政策に伴う資金利益(しきんりえき)の低下です。資金利益とは、融資などによって得られる利息と、預金者に支払う利息の差額で、銀行収益の根幹をなすものです。この低金利環境の下、収益が圧迫されている状況が鮮明になりました。また、最終的な利益である純利益についても、融資の焦げ付きなどに備えて計上する**与信関係費用(よしんかんけいひよう)**が増加した影響などから、16%減の2,896億円にとどまったのです。
集計の対象となったのは、1都9県の地方銀行(地銀)13行、第二地方銀行(第二地銀)8行、そして埼玉りそな銀行の計22行の決算概要です。地域経済を支えるこれらの銀行の貸出金残高は、前期比で3%増の80兆7,491億円となり、資金需要は堅調に推移していることが分かります。しかしながら、肝心の貸出金利回りは**0.03ポイント低下し、1.10%**となりました。これは、低金利競争の激化を示唆するもので、貸出残高が増えても、得られる収益の割合が小さくなっていることを意味しています。
結果として、銀行の本業の柱である資金利益は1兆958億円となり、前期に比べ3%の減少となりました。地域金融機関は、金利差による収益に依存するビジネスモデルからの転換をより一層求められている状況にあると言えるでしょう。一方、安定的な資金源である預金残高については、前期比2%増の107兆1,821億円と順調に増加しており、地域住民や企業からの信頼は厚いことが伺えます。
こうした地方銀行の厳しい決算状況に対し、SNSでは「やはり地銀は厳しいか」「低金利はいつまで続くのだろう」といった懸念の声が多く見受けられます。一方で、「地元を支える地銀には頑張ってほしい」「手数料ビジネスの強化や新たな事業展開で活路を見出すべき」といった、地域金融機関への期待やアドバイスも寄せられており、地域経済の担い手としての地銀への関心の高さがうかがえます。
光明か?信用金庫は実質業務純益が増加!
同日公表された関東財務局管内72信用金庫の2019年3月期決算概要からは、地銀とは異なる傾向が見られました。信用金庫(しんようきんこ)とは、地銀と同じく地域に根差した金融機関ですが、会員(原則として地域住民や中小企業など)の出資による「非営利の協同組織」という点で銀行と異なります。この72信用金庫の実質業務純益は、前期比で2%増の1,175億円を達成したのです。
これは、信用金庫にとって6年ぶりの増加となる明るいニュースです。増加の背景には、地道な経費削減努力が進んだことに加え、地銀と同様に厳しいながらも資金利益も増加したことが寄与しています。規模の経済が働きにくい信用金庫が、経営効率化と地域でのきめ細やかな金融サービスを両立させた結果と言えるかもしれません。
私見ではございますが、この結果は、地域金融機関の将来を占う上で非常に示唆に富んでいると考えられます。地銀が大型融資や市場運用で収益を追求する一方で、信用金庫はより地域に密着した中小企業や個人へのコンサルティング機能を発揮し、手数料ビジネスや地域経済活性化への貢献といった新たな価値提供の道を見出しつつあるのではないでしょうか。単なる金利差益に頼るのではなく、真の地域密着型金融サービスへと進化できるかどうかが、今後の生き残りの鍵となるでしょう。地銀においても、大規模な再編や共同化だけでなく、地域特性に応じた独自のビジネスモデルの構築が急務であると言えるでしょう。
コメント