【解説】デジタル課税とは?GAFAを狙う国際ルールに米国がまさかの「冷や水」!年内合意に急ブレーキか

インターネットを通じて世界中で巨大な利益を上げるIT企業に対し、どのように税金をかけるべきでしょうか。いま、世界135カ国・地域が協力し、経済のデジタル化に対応した新しい「国際課税ルール」の構築を進めています。しかし、2020年1月末の公式会合を目前にして、大きな波乱が巻き起こっています。これまで議論を力強く引っ張ってきたはずの米国が、急にブレーキをかけるような驚きの提案を突きつけてきたのです。

SNS上でもこの動きは大きな注目を集めています。「GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)への課税は世界の悲願だったはずなのに、ここでアメリカがハシゴを外すのか」「やはり自国の巨大IT企業を守りたい本音が透けて見える」といった、驚きや不満の声が続出しています。消費者がいる国へ適切に税収を配分しようという、これまでの世界的な連帯のムードが一気に緊迫した空気に変わったのは間違いありません。

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企業がルールを選べる?米国が突きつけた驚きの「選択制」

問題となっているのは、米国のムニューシン財務長官が国際機関であるOECD(経済協力開発機構)に送った一通の書簡です。なんと米国は、新しいデジタル課税のルールに従うかどうかを「企業自身に選択させるべきだ」と主張してきました。せっかく世界中の国々が苦労して共通の決まりを作っても、企業側が「私たちはこれまでの古いルールがいいです」と拒否できてしまっては、新ルールは完全に中身のないものになってしまいます。

現在の国際課税は、工場や支店といった物理的な拠点がある国で税金を納める「法人課税」の仕組みが原則となっています。しかし、ネット上でサービスを展開するデジタル企業は、特定の国に拠点を置かずに巨額の利益を上げることが可能です。これに対応するため、拠点がなくても「実際にモノやサービスが消費された国」に税収を配分する画期的な仕組みが、今回のデジタル課税の本質であり、各国の期待が集まる部分でした。

支持派のIT巨頭と慎重な他業界、米国内での複雑な思惑

実は、米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)をはじめとする米国のIT大手の多くは、この新ルールを支持する姿勢を見せています。なぜなら、各国の反発によって個別にバラバラな税金を課されるよりも、統一された国際ルールに従う方が予測しやすくて都合が良いからです。その一方で、低税率の国を利用して節税してきた製薬業界など、現在のシステムに慣れ親しんでいる他の一部の米大企業からは強い反対意見が出ていました。

米国の税務専門紙「タックスノーツ」の電子版が2020年01月24日に報じたところによると、米国政府の高官は、議会での承認を見据えて反対派の国内企業に配慮した結果、このような提案を行ったと明かしています。つまり、トランプ政権が国内の支持基盤を守るために、国際的な約束事に対して一時的に盾を突いた形と言えるでしょう。自国の都合で世界の潮流を乱す姿勢には、メディアとしても疑問を感じざるを得ません。

反発する欧州と日本、2020年1月末の会合の行方は?

この米国の「骨抜き案」に対し、フランスのルメール経済・財務相は「見込みのない案だ」と一蹴し、強く非難しています。日本政府も同様に否定的なスタンスを取っています。もし企業に選択の自由を与えてしまうと、実効性が失われたことに怒った各国が、独自に高いデジタル税を次々と導入しかねません。そうなれば、結果的に日本企業が二重に課税されるような、予期せぬ不利益を被るリスクが高まってしまうからです。

世界は2020年1月末のOECD会合で、新ルールの骨組みについて「大筋合意」を目指しています。米国が提案を正式に取り下げたわけではないため、交渉は最後までもつれるでしょう。目先の利益にとらわれて国際協調が崩壊すれば、世界経済の分断を招くことになります。米国には大国としての責任を果たし、デジタル時代にふさわしい、誰もが納得できる公平な課税ルールの完成に向けて、誠実に議論へ復帰することを切に願います。

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