2020年2月3日、NTTと京都大学が医療分野における新たな共同出資会社を設立するという、業界を揺るがす重大な発表が行われました。その名も「新医療リアルワールドデータ研究機構」。NTTが過半数を出資するこの新会社は、バラバラに管理されていた臨床情報を集約し、統計データとして医療機関や製薬会社に提供するビジネスを展開します。5年以内に10億円規模の売上を目指すという、非常に野心的な挑戦が始まろうとしているのです。
なぜこれほどまでに注目を集めているのでしょうか。それは、これまで医療機関の壁を越えたデータ統合が、ほぼ「不可能」とされてきたからです。電子カルテのメーカーが異なると、データの形式やルールがまるで別言語のようにバラバラであり、統合は至難の業でした。しかし、今回両者はその壁を打ち破る技術を開発しました。7つの大学での実証実験を経て、ついに事業化へと踏み出したのです。
がん治療の未来を切り拓くデータ活用
新会社が最初に取り組むのは、がん治療の領域です。まずは全国に約400ある「がん診療連携拠点病院」のうち、2年間で100施設以上の参画を目指しています。武藤学教授によると、これにより国内の約2割から3割もの臨床情報を収集・活用できる体制が整うといいます。もちろん、臨床情報の収集には個人の同意が不可欠であり、統計化されたデータのみを扱うことでセキュリティを徹底する方針です。
SNS上でもこのニュースに対する期待の声は非常に大きく、「治療の最適化が進むのでは」「難病の治療法発見に繋がってほしい」といった前向きな反響が広がっています。やはり、多くの人々がデータの力で医療がよりパーソナライズされ、進化することを待ち望んでいるのでしょう。私も、医療という個人の命に直結する分野で、技術革新が壁を越えていく様子を非常に頼もしく感じています。
NTTが描く医療DXの壮大な戦略
NTTにとって、今回の取り組みは単なる一事業ではありません。2018年秋に公表された中期戦略において、医療は新規事業の重要な柱として位置づけられています。島田明副社長が掲げる通り、グループ全体で医療分野の連携を加速させ、社会の課題解決に貢献しようという強い意志を感じます。実際、2019年にはゲノム情報と健康診断データをAIで解析する予防医療会社を設立するなど、精力的な活動が目立ちます。
今回の試みは、IT技術と医学的知見が高度に融合する現代医療の象徴と言えるでしょう。バラバラなデータを統合する「技術」と、個人のプライバシーを守る「倫理観」の両立こそが、今後のヘルスケアビジネスの鍵を握っています。日本の医療現場が蓄積してきた貴重な知見が、データとして昇華され、新しい治療薬や治療法の開発へと繋がっていく未来には、計り知れない可能性があると私は信じています。
コメント