南太平洋の美しい島々が、いま静かな危機に直面しています。外務省は、これらの島しょ国に向けて国の財政や債務管理の専門家を派遣する方針を固めました。財務省のOBや国際機関での出向経験を持つプロフェッショナルを中心に人選を進めており、2020年内にも支援対象となる国を決定する予定となっています。
この決定の背景にあるのは、中国からの過剰な資金借り入れによって返済困難に陥る国が急増しているという由々しき事態です。経済規模が比較的小さい太平洋の島しょ国、例えばトンガやサモア、バヌアツなどにおいて、中国への巨額の債務が深刻な社会問題として影を落としています。
特にトンガでは、2017年時点で対外債務が国内総生産(GDP)比の36パーセントにも達しました。さらに驚くべきことに、そのうちの6割にあたる約130億円が中国からの借り入れで占められていたのです。結果として、トンガは2018年に100億円を超える対中債務の返済猶予を受けることで中国側と合意せざるを得ませんでした。
インフラ支援の裏に潜む「債務のワナ」の恐怖
ここで問題となっているのが「債務のワナ」と呼ばれる手法です。これは、相手国に返済不可能なほどの巨額な融資を行い、返済が滞った見返りとして港湾などの重要インフラの権利を奪い取るという外交戦略を指します。貸し付けた資金で相手国の首を絞め、最終的に支配力を強めるやり方と言えるでしょう。
この恐ろしい罠の代表例として知られるのが、スリランカのハンバントタ港です。同国は中国からの巨額の借金を返済しきれず、2017年に港の租借権を99年間も中国に引き渡すことになりました。南太平洋地域ではまだそこまで目立った事例は起きていないものの、決して対岸の火事として見過ごすことはできません。
実際、太平洋地域における中国の影は確実に濃くなっています。2019年9月にはキリバスとソロモン諸島が台湾と断交し、中国と国交を樹立しました。現在、同地域の14カ国のうち実に10カ国が中国と国交を持つ状況にあり、インフラ支援を隠れ蓑にした影響力の拡大には強い警戒が必要不可欠です。
日本の「知恵の支援」が果たす重要な役割
こうした事態に対し、日本は米国と連携して「自由で開かれたインド太平洋」構想を推進しています。これは、アジアからアフリカに至る地域で、法の支配や航行の自由、自由貿易といった価値観を共有し、平和と繁栄を目指す取り組みです。中国の強引な海洋進出を牽制する意味合いも強く含まれています。
日本は3年に1度「太平洋・島サミット」を開催し、島しょ国との信頼関係を丁寧に構築してきました。さらに2019年には、太平洋諸国に対して人材や予算を重点的に配分する方針を打ち出しています。今回の財政専門家派遣も、この流れを汲んだ非常に意義深い施策と言えるのではないでしょうか。
インターネット上のSNSでも、「単なるお金の援助ではなく、知恵を貸す日本のやり方は素晴らしい」「小さな島国が借金漬けになるのを防ぐ心強い支援だ」といった賛同の声が数多く見受けられます。私自身も、相手国の自立を促し、国家予算の適切な管理ノウハウを伝える手法は、日本の強みを活かした素晴らしいアプローチだと強く感じます。
「債務のワナ」という甘い誘惑から美しい島々を守るため、日本が果たすべき役割はますます大きくなっています。2020年内に対象国が決まり、日本の専門家たちが現地で活躍する日が今から待ち遠しいです。世界が平和で公正な発展を遂げるためにも、日本の力強いリーダーシップに大いに期待したいところです。
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