いま、ビジネスの世界で「モノ言う株主」と呼ばれるアクティビストたちが、かつてないほど活発に動き回っています。彼らが特に狙いを定めているのが、上場子会社を抱える企業、過度な多角化を進める企業、そして莫大な不動産を保有する企業の三つです。これらはまるで「御三家」のように市場から厳しく監視されており、それぞれの存在意義そのものが根本から揺さぶられています。
では、なぜ彼らはこれらの企業を標的にするのでしょうか。実は、ここには経営の「善し悪し」を巡る、古くて新しい対立構造が隠されています。かつて戦後日本の成長を支えたメインバンクによるガバナンス環境下では、子会社を上場させることも、多角化でリスクを分散させることも、不動産を抱え込むことも、すべて「正しい経営」として賞賛されてきました。
債権者思考と株主思考の深い溝
しかし、現代の市場はそんな過去の常識を容赦なく否定し始めています。ここで重要になるのが、「債権者」と「株主」という異なる視点の違いです。銀行などの債権者にとって、多角化や不動産保有は貸したお金が戻ってくる確率を高める安心材料となります。これに対し、株主は限られた資本を最も効率よく増やしてくれる対象に投資したいと願うため、経営の効率性や利益率を重視します。
この視点のズレこそが、現在起きている対立の正体です。日本企業の中には、いまだにメインバンク時代の「債権者的なメンタリティー」が根強く残っており、コーポレートガバナンス・コード、すなわち企業統治に関する指針が求める「株主視点での経営」へと完全に舵を切れていないケースが非常に目立ちます。
SNS上でもこの議論は過熱しており、「効率ばかりを追求して良いのか」と企業の歴史的背景を重んじる声がある一方で、「時代遅れの経営体制が成長を阻害している」という厳しい指摘も多く見られます。私個人としては、過去の功績を否定する必要はないものの、株主が求める資本効率という冷徹な現実から逃げ続けることは、もはや持続可能な経営とは言えない時代に突入していると考えます。
経営者に求められているのは、単にどちらかが正しいと結論づけることではありません。債権者的な思考がこれまで果たしてきた役割を正当に評価しつつ、なぜ今、株主的な思考へと切り替えなければならないのか、その背景と目的を投資家としっかりと対話することでしょう。2020年2月6日現在、この思考の転換を果たせるかどうかが、日本企業の命運を分ける瀬戸際にあると言えるのではないでしょうか。
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