近年の気候変動により、台風や豪雨による災害がかつてないほど激甚化しています。こうした状況を受け、国土交通省は災害リスクの高い土地における開発規制を強化する方針を固めました。これは単なる開発制限ではなく、空き家対策や人口減少に伴うまちづくりのあり方と密接に関わる、私たちの命を守るための極めて重要な転換点といえるでしょう。今こそ、土地利用に関する私権のあり方を見直すべき時ではないでしょうか。
2020年1月30日に報じられた内容によれば、今国会に提出される都市計画法などの改正案では、これまで規制が及んでいなかった浸水想定区域において、十分な安全対策がなされていない住宅開発を原則として認めない方向で調整が進められています。日本は地形上、川に沿って市街地が形成されているケースが多く、なんと3000万人もの人々が浸水想定区域に暮らしているという現実があります。今回の規制は、まずは開発を抑えるべき市街化調整区域などの郊外から着手されますが、国民の安全を確保するまちづくりへの大きな一歩といえるでしょう。
災害リスクを可視化し、未来のまちをデザインする
SNS上でもこの話題は大きな反響を呼んでおり、「自分の住む場所のリスクを改めて考えるきっかけになった」「規制強化は不便に感じるかもしれないが、将来の安全のためには必要だ」といった声が上がっています。専門家からは、災害リスクの度合いに応じて規制を細分化すべきだという意見も出されています。浸水想定区域といってもリスクの幅は広く、地域の特性を考慮しながら柔軟にルールを適用できる仕組み作りが、これからの防災計画の要となるに違いありません。
また、国と損害保険会社が災害リスクについて協議を始めたことも見逃せません。危険度に応じた適正な保険料の設定が進めば、やがて地価や住宅ローン金利にもそのリスクが反映されるようになるはずです。これは、私たちが「どの場所に住むか」を選択する際に、災害リスクを正しく評価する文化を根付かせる重要な契機となるでしょう。
「賢く縮む」社会への舵切り
現在進められているコンパクトシティー構想、つまり都市の機能を特定の地域に集約させる政策においても、この議論は不可欠です。災害リスクが高い地域に新たな住民を誘導することはあってはなりません。人口減少が加速する中、インフラの維持管理も限界に達しつつあります。だからこそ、これまでのような「どこまでも広がる街」ではなく、安全な場所に集住する「賢く縮む」社会の形成に向けた、より強力な規制や誘導が求められているのではないでしょうか。
一方で、子育て世代の定住を願う自治体が、安易に農地を宅地へと転換し続ける現状には疑問を禁じ得ません。特に2年後に迫った「生産緑地制度」の期限切れにより、宅地供給が過剰になる可能性も懸念されています。憲法が保障する財産権は尊重されるべきですが、公共の福祉の観点から私権をどの程度制限するかは、時代の要請に応じて変わるべきものです。人口が減り、所有から利用へと価値観がシフトする今、私たちは未来の世代にツケを残さないための、勇気ある決断を求められているのです。
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