楽天・三木谷氏が断行する「送料無料化」の光と影!アマゾン猛追の切り札も出店者との深い溝は埋まるのか?

EC業界に激震が走っています。ネット通販大手の楽天を率いる三木谷浩史会長兼社長が、2020年1月29日に都内で開かれた戦略説明会に登壇しました。そこで打ち出されたのは、一定額以上を購入したユーザーに対して送料を無料にするという、まさに不退転の決意です。三木谷氏は「今回の施策はグループの成長に向けた分水嶺であり、何が何でも一緒に成功させたい」と集まった約4000人の出店者に向けて、熱弁を振るいました。

EC(エレクトリック・コマース)とは、インターネット上でモノやサービスを売買する電子商取引のことです。利便性の高さから市場は拡大を続けていますが、今回の楽天の方針に対しては、一部の出店者から強い反発の声が上がっています。すでに300店以上が加盟する任意団体「楽天ユニオン」が、一方的な送料負担によって赤字が膨らむと猛抗議しており、事態を重く見た公正取引委員会が店舗側への事情聴取に乗り出す事態にまで発展しました。

SNS上でもこの問題は大きな話題を呼んでおり、ユーザーからは「送料が分かりやすくなるのは大歓迎」「買い物がしやすくなる」と歓迎する声が目立ちます。その一方で、お気に入りの個人商店を心配するファンからは「お店の負担が増えて閉店してしまわないか不安」「結局、商品価格に送料が上乗せされるだけでは」といった懸念も噴出しており、消費者と店舗の双方で意見が真っ二つに割れている状況です。

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送料無料化へ突き進む背景とアマゾンへの強い危機感

三木谷氏が周囲の反対を押し切ってまで、2020年3月18日からの「3980円以上で送料無料(沖縄・離島除く)」という強硬策に突き進む背景には、ライバルである米アマゾン・ドット・コムへの並々ならぬ危機感があります。楽天は1997年にサービスを開始し、2000年に日本へ進出してきたアマゾンを長年リードしてきました。しかし、自社で商品を仕入れて配送する「直販」に強みを持つアマゾンは、独自の物流網を急速に発展させたのです。

現在のアマゾンでは、2000円以上の購入で送料が無料になる仕組みが確立されており、これが日本の消費者の心を掴みました。実際にアマゾンの日本事業における売上高の伸び率は約15%と高水準を維持しており、楽天の流通総額の伸び率である約10%を上回る年が目立っています。三木谷氏は、楽天市場のユーザーの約7割が「送料の高さや分かりにくさ」を理由に購入を断念しているというデータを引き合いに出し、改革の必要性を訴えます。

私は今回の楽天の決断について、巨大プラットフォームとしての生き残りをかけた宿命の選択だと感じます。アマゾンという強大な黒船に対抗するため、顧客ファーストの視点で利便性を高める戦略はビジネスとして正攻法でしょう。しかし、楽天の強みは個性的で魅力的な店舗が集まる「商店街」のような温かみだったはずです。店舗側の犠牲の上に成り立つ便利さでは、長期的なファンの信頼を失いかねないという危うさもはらんでいます。

楽天も手をこまねいているわけではなく、今後10年間で2000億円を投じて自社物流網を整備する計画を掲げています。配送コストを抑える独自の物流網の人口カバー率は現在60%で、これを80%以上に引き上げる方針ですが、具体的な達成時期はまだ見えていません。店舗側の重い負担がこのまま長期化すれば、出店者の離脱やさらなる反発を招くリスクがあり、三木谷社長の手腕が真に試されるのはこれからだと言えるでしょう。

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