日本の伝統技術がアメリカの夜を彩る!金沢のクラモト氷業が挑む高級「純氷」輸出ビジネスの未来

日本のバーで提供される、クリスタルのように美しく輝く氷に感動した経験はありませんか。金沢市に拠点を置く1923年創業の老舗、クラモト氷業が、2020年1月からアメリカ市場へ向けて飲食用の氷の輸出を開始しました。日本の高い製氷技術で作られた氷を海外へ届ける試みは非常に珍しく、業界内外から熱い視線が注がれています。SNSでも「日本の氷のクオリティは世界一」「カクテルの味が劇的に変わりそう」といった期待の声が続々と上がっており、世界的な注目度の高さがうかがえます。

今回輸出されるのは、ただの氷ではなく「純氷(じゅんぴょう)」と呼ばれる特別なものです。純氷とは、結氷の過程で徹底的に攪拌(かくはん)を行い、空気やミネラルなどの不純物を極限まで取り除きながら、48時間以上かけてゆっくりと凍らせた透明な氷を指します。不純物を含まないため硬く、溶けにくいのが最大の特徴です。カクテルやウイスキーなどの飲料に純氷を使用すると、お酒本来の繊細な風味を薄めることなく、最後まで最高の状態で楽しむことができます。

クラモト氷業の最大の武器は、顧客の細かなニーズに応える小ロットでの生産加工体制にあります。アメリカのバーやレストランで使われるグラスのサイズに合わせ、5センチメートルから13センチメートルまでの多様な直方体や球体の氷を取りそろえました。2020年1月にはグラス氷やかち割り氷など約10種類、計6トンをすでに出荷しています。カリフォルニア州ロサンゼルスを中心に、格式高い高級バーや日本食レストランなど約20店舗への納入が決定しました。

同社がアメリカ市場に着目した背景には、1年以上にわたる綿密な現地調査がありました。アメリカの多くの飲食店では、ミネラルを多く含んだ濁りやすく溶けやすい氷が主流であり、お酒の味を変えずに提供できる純氷のニーズが手つかずのまま残されていたのです。そこで同社は2018年11月に現地法人を設立し、進出への足がかりを築きました。2019年の試験輸送時には氷が割れるトラブルもありましたが、緩衝材を細かく配置する工夫で見事に克服しています。

日本の人工氷市場は大手メーカーの参入により競争が激化しており、地方の老舗企業が生き残るためには、クラモト氷業のように独自の強みを活かして海外のブルーオーシャンへ飛び出す英断が必要不可欠です。2019年12月には3000万円を投じた新型の加工機械も完成し、ハート型への加工や文字を刻印できる銅製プレートの販売など、付加価値の高いビジネスを展開しています。同社の挑戦は、日本の地方企業が持つ職人技が、世界に通用することを証明する素晴らしい先駆例となるでしょう。

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