歴史と美が織りなす徳島・美馬の旅!「うだつの上がる町並み」で吉野川の恵みと圧巻の歴史絵巻に浸る休日

江戸時代から明治時代にかけて、阿波藍の流通でこの上ない栄華を極めた徳島県美馬市脇町をご存じでしょうか。深く鮮やかな青色が「ジャパンブルー」として世界を魅了し続ける中、その一大拠点となったのがこの地域です。美馬市を流れる吉野川は、かつて激しい氾濫を繰り返すことで知られていましたが、皮肉にもその洪水がもたらした肥沃な土壌こそが、最高品質の藍を育てる土台となりました。川の恵みによって富を築いた豪商たちの歴史が、今も息づいています。

現在でも約400メートルにわたって85棟もの歴史的建造物が連なる景観は、訪れる人々を圧倒しています。SNS上でも「まるでタイムスリップしたかのような情緒ある風景に感動した」といった声が数多く寄せられ、写真映えするスポットとして大きな注目を集めていました。この町並みの象徴が、屋根の両端に設けられた「うだつ」と呼ばれる漆喰塗りの袖壁です。隣家からの火災を防ぐ防火壁としての役割を持ち、当時の建築技術の粋を集めて作られました。

この「うだつ」は、構築するのに莫大な費用が必要だったため、次第に商人の「富の象徴」へと変化していったのです。各自が意匠を凝らした装飾を競い合ったことから、出世できない状態を指す「うだつが上がらない」という有名な慣用句の語源になったとも言われています。私は、建築が単なる日よけや雨風をしのぐものではなく、自己表現やステータスの証として機能していた点に、当時の商人たちの並々ならぬプライドと、豊かな遊び心を感じずにはいられません。

地域で随一の勢力を誇った藍商である吉田直兵衛の屋敷は、現在は「吉田家住宅」として広く一般に開放されています。江戸時代後期に建てられたこの邸宅は、広大な中庭を囲むように母屋や藍蔵など5棟が並ぶ堂々たる佇まいです。一歩足を踏み入れると、かつて活発な取引が行われていた帳場が広がり、2階には住み込みで働いていた労働者たちの寝床が残されています。当時の息づかいや、人々の賑やかな暮らしぶりがリアルに伝わってくる貴重な空間です。

この歴史ある吉田家住宅を舞台に、現在、華道家の假屋崎省吾さんによる展覧会「うだつをいける」が華やかに開催されています。2020年2月24日までの会期中、地元が誇る洋ラン生産企業である河野メリクロンの全面協力のもと、色鮮やかな洋ランや柑橘類の樹木を大胆に使った約100点の芸術的な作品が空間を彩ります。歴史的な木造建築と、現代の卓越したフラワーアートが融合した奇跡の空間は、一見の価値があると言えるでしょう。

2020年1月12日に催された開幕行事では、地域の伝統文化である「三味線もちつき」が披露され、来場者に温かい雑煮が振る舞われました。軽快な三味線の音色と唄に合わせて絶妙な呼吸で餅をつきあげる文化は、美馬市の活気をお祝いの席に届ける素敵なイベントです。また、町並みから歩いて5分ほどの場所にある「脇町劇場・オデオン座」も外せません。山田洋次監督、西田敏行さん主演の映画の舞台として、今も多くの映画ファンが聖地巡礼に訪れています。

一時は老朽化による解体の危機に瀕しながらも、そのユニークな昭和の佇まいから市指定文化財として見事に蘇ったオデオン座の歴史からは、地域の宝を後世に遺そうとする住民の強い愛着が窺えます。藍の富が築いた江戸の町並みから、昭和レトロな劇場までを楽しめる美馬市は、まさに歴史の教科書を歩くような贅沢な旅を約束してくれます。週末のひととき、古き良き日本が残る徳島へ、あなたも歴史のロマンを探す旅に出かけてみてはいかがでしょうか。

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