キリンHDの純利益が64%減少!豪州事業の苦戦や協和発酵バイオの出荷停止が響くも国内ビールや医薬事業は堅調を維持

キリンホールディングスが2020年2月14日に発表した2019年12月期の連結決算は、純利益が前の期と比べて64%減の596億円と大きく落ち込みました。この急激な利益減少は、オーストラリアの子会社における減損処理や、バイオ子会社の不振が主な要因となっています。SNS上では「キリンほどのメガブランドでも海外事業は一筋縄ではいかないのか」「クラフトビールなどの競争激化が影響しているのでは」といった驚きや分析の声が相次いで上がっている状況です。

特に業績の重荷となったのが、オーストラリアで展開する子会社のライオンです。現地のビール市場における販売競争が激しさを増しており、ブランドを守るための販促費が膨らんでしまいました。さらに、現地の異常気象に起因する生乳価格の高騰が加わり、乳飲料事業の原価を押し上げています。為替が豪ドルに対して円高に振れたことも追い打ちをかけ、全体の利益を目減りさせる結果を招きました。

さらに、2019年に傘下に収めた協和発酵バイオでも予期せぬトラブルが発生しています。山口県にある防府工場において、決められた手順とは異なる方法で医薬品の原材料である「原薬」を製造していたことが発覚したのです。これを受けて2019年9月24日から一部製品の出荷をストップしており、この事業の利益は71%減の23億円へと激しく落ち込みました。

ここで使われている「原薬(げんやく)」とは、薬の効き目の中心となる有効成分そのもののことです。これに様々な添加物を混ぜて錠剤やシロップなどの形に加工する前の、最も重要な物質を指します。人の命や健康に直結するものだからこそ、製造手順の遵守は厳格に求められます。今回の出荷停止による損失は一過性のものにとどまらず、続く2020年12月期には20億円の赤字に転落する見通しが示されており、一刻も早い信頼回復が待たれます。

その一方で、日本国内のビジネスは非常に健闘している印象を受けます。国内のビール事業や飲料事業はしっかりとプラスを確保しており、根強いファンに支えられていることが窺えるでしょう。また、協和キリンが先導する医薬事業では、骨の病気や白血病の治療薬が極めて好調に推移しました。デジタルマーケティングへの投資がかさんだことで全体の事業利益は4%減となりましたが、基盤の強さは証明されています。

2020年12月期の業績予想に目を向けると、純利益は前期比94%増の1155億円とV字回復を果たす見込みです。ただし、これは大口の損失計上がなくなることが主因であり、本業の儲けを示す事業利益はほぼ横ばいと予想されます。豪州の飲料事業を中国企業へ売却する手続きを進めるなど、事業ポートフォリオの選択と集中を急いでいますが、本格的な成長軌道に戻るまでには少し時間を要するかもしれません。

私は今回の決算を見て、企業のM&A(合併・買収)における統合プロセスの難しさを改めて痛感しました。国内市場の縮小を見据えて海外や新領域へ舵を切る戦略は不可欠ですが、異文化の市場コントロールやコンプライアンスの徹底には大きなエネルギーが必要です。だからこそ、2019年に出資を決定したファンケルとのシナジー効果に期待が寄せられます。キリンが持つ技術力と融合し、新たな価値を創造してほしいと感じています。

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