総合化学メーカーの宇部興産は2020年2月4日、2020年3月期の連結純利益が前期に比べて32%減る見込みであると発表しました。最終的な利益は220億円にとどまる見通しで、従来の予想から55億円も下振れする形です。
このニュースに対し、SNSでは「中国市場の減速による影響がリアルに出てきた」「製造業全体の冷え込みが心配」といった、先行きを不安視する声が目立っています。さらにゴルフ場事業の売却に伴い、約46億円の減損損失を計上したことも利益を圧迫する要因となりました。
ちなみに減損損失とは、投資した資産の価値が下がり、回収できる見込みがなくなった場合に、その目減りした分を損失として帳簿に記録する会計手続きのことです。売上高についても、従来の見通しから300億円引き下げた6750億円へと修正されました。
業績苦戦の背景にあるのは、長期化する米中貿易摩擦です。中国向けの繊維原料は需要が大きく落ち込んでおり、市場価格も想定以上に低迷しています。鉄鋼の副原料となる製品に関しても、中国国内の鉄鋼生産が振るわないあおりを受け、販売が伸び悩んでいる状況でしょう。
特にナイロン繊維の原料は、衣料品が米中関税引き上げの対象となったことで買い控えが起き、価格に大打撃を与えました。しかし、同社の藤井正幸取締役は「部分合意によって価格の底入れ感が出てきている」とも語っており、最悪期を脱しつつある兆候も見られます。
個人的には、今回の下方修正は世界経済の荒波をまともに受けた結果であり、企業の自助努力だけでは抗えない側面が強かったと感じます。ただ、不採算とも言えるゴルフ場事業を早期に整理した決断は、長期的な経営の健全化に向けた前向きな構造改革と言えるはずです。
同日に開示された2019年4月1日から2019年12月31日までの連結決算では、純利益が前年の同じ時期より34%減の151億円、売上高は8%減の4978億円となりました。ここからの巻き返しと、通期目標の達成に向けた踏ん張りに注目が集まるでしょう。
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