日本経済の心臓部とも言える中部地方の企業業績に、いま激震が走っています。主要上場企業136社を対象とした2020年3月期の業績見通しによると、本業の儲けを総合的に表す「経常利益」が前期比で8%も減少する見込みであることが分かりました。
経常利益とは、企業が通常の経営活動で得た利益のことで、本業の儲けに利息などの営業外損益を加えた、企業の本当の実力を測る指標です。昨年11月時点では6%減の予測でしたが、今回の発表でさらに下方修正される形となりました。
SNS上では「地元の製造業が元気がないと日本全体が沈みそう」「いよいよ実体経済への影響が本格化してきた」といった不安の声が広がっています。米中貿易摩擦の長期化に加え、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が決定打となった形です。
2019年5月の期初段階では3%の増益を予測していただけに、四半期ごとに業績予想を引き下げざるを得ない現状は深刻と言えるでしょう。特に2019年10月から12月期の落ち込みが激しく、2020年1月から3月期はさらなる減速が懸念されます。
個別企業を見ても、自動車の心臓部に使われる点火プラグを手がける日本特殊陶業や、工場で使われる大型の工作機械を製造するオークマなど、名だたる企業が軒並み苦戦を強いられています。さらに、安全資産とされる「円」が買われたことで為替が円高に振れ、輸出企業の利益を圧迫しました。
筆者は、今回の事態を単なる一過性のショックと捉えるべきではないと考えます。グローバルなサプライチェーン(部品の調達から販売までの一連のネットワーク)に依存する中部経済の構造的な脆さが、新型肺炎という予期せぬリスクによって浮き彫りになったからです。
世界的な5Gシフトがもたらす逆転のシナリオ
しかし、悲観的なニュースばかりではありません。この苦境のなかで圧倒的な強さを見せつけているのが、次世代通信規格である「5G」に関連するビジネスを展開している企業です。
世界中でデータ通信量が爆発的に増加することを見据え、半導体メーカーがこぞって最先端の設備投資を再開しています。その恩恵をダイレクトに受けているのが、スマートフォンやサーバーの頭脳を支える基板を作っているイビデンです。
イビデンは半導体パッケージ基板の需要増が牽引し、通期の経常利益が3割以上も増加する見通しを発表しました。また、通信機器向けの組み立てロボットが好調なFUJIも業績予想を上方修正しており、市場に明るい話題を提供しています。
SNSでも「5G関連株の強さは本物」「製造業のトレンドが完全にシフトしている」と投資家を中心に大きな注目を集めています。伝統的な自動車関連が苦戦する一方で、最先端テクノロジー分野がこれからの時代を引っ張っていくことは間違いありません。
未曾有の国難とも言える経営環境ですが、企業には迅速なリスク管理と、成長分野への大胆なシフトが求められています。中部企業がこの荒波を乗り越え、再び日本経済の牽引役として復活することを期待してやみません。
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