「部屋が狭くて荷物が片付かない」「捨てられない思い出の品が山積みだ」……そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。断捨離ブームが定着する一方で、物理的なスペース不足は現代人の慢性的な悩みです。そんな中、2019年5月28日、矢野経済研究所から興味深いデータが発表されました。
トランクルームをはじめとする国内の収納サービス市場が、破竹の勢いで成長を続けているのです。発表によると、2020年度の市場規模は2018年度比で約1割増の829億3000万円に達する見通しとのこと。単なる「物置」と侮るなかれ、これは今、最もホットなビジネスの一つと言えるでしょう。
50万室超え!街中に増殖する「第2のクローゼット」
市場拡大の勢いは数字にはっきりと表れています。2018年度の市場規模見込みは前年度比6.7%増の743億3000万円。レンタル収納やコンテナ収納の数は、2018年12月末時点で約52万5000室と推計されており、これは2016年6月の調査と比較して約2割も増加しています。
特に目立つのが、市場の約6割を占める「レンタル収納」の都市部への集中です。背景にあるのは、都心の住宅事情でしょう。地価が高く、収納スペースが十分に確保できないマンションやアパートが増える中、生活空間を圧迫する荷物を外部に預けるという選択肢が、都市生活者の間で急速に市民権を得つつあるのです。
空き家対策の救世主?ビジネス側のメリット
このブーム、利用者だけでなく提供する側にも大きなメリットがあります。不動産オーナーにとって、収納スペースへの転用は比較的初期投資が安く済み、空きテナントや空き家の有効活用策として非常に優秀なのです。最近ではテレビCMなどで認知度も向上しており、オフィスビルの空きスペースがトランクルームに生まれ変わる事例も増えています。
SNS上でも、「趣味のキャンプ用品を預けて部屋が広くなった」「季節外れの服を預けてクローゼットがスッキリ」といった、実際に活用している人々の満足げな声が多く見られます。一方で「便利だけど、預けたまま忘れそう」といった微笑ましい懸念もあり、サービスへの関心の高さがうかがえます。
「持たない暮らし」と「捨てない自由」の両立
私自身、この市場の成長は、日本人のライフスタイルの変化を映し出す鏡だと感じています。2013年度から5年連続で年率10%成長という事実は、単なる流行ではなく、社会インフラとして定着しつつある証拠です。
アパートの空室増加が社会問題化する昨今、それらを「人の住処」から「物の住処」へと転換させるビジネスモデルは、非常に合理的で賢い解決策と言えるでしょう。ミニマリスト的な「持たない暮らし」に憧れつつも、大切なものは手放したくない。そんな現代人の揺れ動く心に、トランクルームという「外部のポケット」は、心地よい解答を提示してくれているのかもしれません。
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