🌾秋田発!コメ・大豆・キクの収益を激変させる「スマート農業」実証実験が描く未来図

高齢化や人手不足が進む日本の農業。この喫緊の課題を打破する「スマート農業」の大規模な実証実験が、2019年〜2020年にかけて秋田県でスタートしました。この取り組みは、国が予算を投じるプロジェクトの一環で、情報通信技術(ICT)や自動農機を駆使し、農作業を効率化させながら、最終的には作物の収量と出荷量を最大限に引き上げることを目指しています。農作業の負担軽減と経営改善という、まさに一石二鳥の効果が期待されています。

実験の大きな柱の一つは、大仙市でのコメと大豆を対象とした取り組みです。2019年5月21日には、農事組合法人たねっこの水田で報道関係者向けの実演会が開かれ、GPS(全地球測位システム)受信機を搭載した田植え機が登場しました。この機械は、オペレーターがハンドルから手を離しても直進を維持できる自動操舵(そうだ)機能を備えており、苗を正確かつ次々と植え付けていく様子は、まさに未来の農業を感じさせるものでしょう。この実験は、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)や秋田県農業試験場、農機メーカー、生産者らが結成したコンソーシアムによって、それぞれ25ヘクタールという広大な規模で展開されています。

具体的な手法としては、田畑を耕す自動操舵の機械や、リモコン操作できる草刈り機などで作業負担を大幅に軽減します。さらに、ドローン(小型無人機)で撮影した生育画像から、生育状況を詳細に診断。これにより、どこでどれだけの収量が得られたかを地図上に表すことができます。このデータを活用し、翌年、収量が少なかった地点には肥料を多めに施すなど、ピンポイントな栽培管理を行うことで、収量増加を目指す計画です。ICT田植え機は、進んだ距離を正確に把握できるため、苗や肥料、農薬を適切な量だけ使用でき、資材費の節約にもつながります。高価な農機具の導入費用はかかるものの、収益を5%改善するという具体的な目標が設定されており、期待が高まります。

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作業の集中を打破!露地小菊栽培の省力化への挑戦

もう一つの重要な実験対象は、男鹿市にある男鹿・潟上地区園芸メガ団地での露地小菊です。キクは通常、9月などの需要期に作業が集中しやすく、特に植え付けや収穫の多くが手作業に頼っているため、規模拡大の大きな足かせとなっていました。ここでは、メガ団地の共同利用組合、秋田県、農研機構などからなるコンソーシアムが中心となり、省力化と効率化に取り組みます。

2019年5月28日には、移植機を使ったキクの植え付け実演が行われました。この機械は、畝に穴を開け、苗を植え、さらに水やりまでを一連の流れで自動化します。従来、腰をかがめて行っていた手作業と比べ、移植機を使用することでオペレーターは座ったまま作業が可能となり、農家の身体的な負担を大きく軽減するでしょう。これにより、植え付け作業の時間はおよそ半分に短縮できる見込みです。

さらに、需要期に作業が集中する問題を解決するため、自動制御の発光ダイオード(LED)の光を当てて開花時期を人工的に調節する技術も導入されます。収穫時には、効率的に作業できる収穫機を使用し、収穫後の切り花を自動で長さを揃えて束ねる切り花調整ロボットも導入されます。これらの技術を組み合わせることで、全体の労働時間を3割削減し、最も重要な需要期の出荷率を9割にまで高めることを目指しています。これらの技術は、キク農家にとって経営の安定と拡大に直結する大きなブレークスルーとなることでしょう。

このスマート農業の実証事業は、全国で69件実施されており、このうち東北地方では10件が選ばれています。大仙市のたねっこ代表である工藤修氏(67歳)は、「スマート農業は間違いなく経営にプラスです。また、このような新しい技術の導入は、若い人たちのモチベーション向上にもつながる」と、その効果に大きな期待を寄せています。筆者も、日本の食料生産と地域経済を支える農業において、最先端技術が高齢化の波に立ち向かい、新たな成長のエンジンとなる可能性を強く感じています。秋田での成功が、全国の農業へ波及し、日本の食を支える力をさらに強固なものにしていくに違いありません。

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