和歌山県は、日本の梅生産において圧倒的なシェアを誇る一大産地です。しかしながら、2019年産のウメは収穫の最盛期を迎える中、全国的に価格が高値で推移する見通しが強まっています。主力の品種である南高梅(なんこううめ)をはじめとした和歌山産のウメの市場価格は、例年よりも高めの水準で推移し、消費者の家計にも影響を与える可能性が出てきているのです。
具体的に見ますと、日本経済の動向を示す重要な指標となる大阪市中央卸売市場本場では、取引が開始された2019年5月中旬から現在までの平均価格が、1キログラムあたりおよそ600円前後となっており、これは前年の同時期と比較して約2割も高い水準となっています。この価格高騰の背景には、収穫期前の天候不順が大きく関係していると指摘されています。
和歌山県のJA紀南が2019年5月上旬時点でまとめた生産量の見通しによると、梅の「女王」とも称される主力品種の南高梅は前年比で15パーセントの減産、また、梅酒やシロップ作りによく利用される古城梅(ごじろうめ)に至っては25パーセントの大幅な減産が予想されています。このような生産量の減少は、ウメの実が大きく成長するための、春先の開花期から収穫期にかけての適度な降雨が不足したことに起因しているとのことです。
特に和歌山県内では、「2019年5月に雨が少なかった影響で、前年と比較して全体的に実のサイズが小さい傾向にある」とJA紀南はコメントしています。さらに、2018年秋に紀伊半島を襲った台風21号による塩害(強い風で運ばれた塩分によって植物が受ける被害)の影響も、一部で懸念されており、品質や収量に複合的な影響を与えている可能性も否定できません。
店頭での販売価格はどうなっているのでしょうか。大阪市内のスーパーなどでは、現時点でのウメの小売価格は1キログラムあたり880円から980円(税別)と、概ね例年通りの価格で販売している店舗が多い状況です。しかしながら、スーパーマーケット大手のライフコーポレーションは、「仕入れ値が前年より高くなる見込みであり、品種にもよりますが、店頭価格も前年並みか、場合によっては高くなる可能性がある」と、今後の価格転嫁を示唆しています。消費者としては、お気に入りの梅干しや梅酒を作る際の費用が増えるかもしれない、と注視する必要があるでしょう。
また、梅干しメーカーも今回の高値傾向には頭を悩ませています。和歌山県の業者の中には、「前年(2018年)の猛暑によって、夏バテ防止などに梅干しの需要が伸びた際に多めに確保していた在庫で当面は乗り切る」という方針の企業もあるようです。しかし、その後の市場価格の動向を見極めた上で、2019年9月以降の製品価格を決定したい、としており、梅干しの価格も秋以降に上昇するかもしれません。SNSでは「今年の梅仕事の費用が心配」「梅酒を諦めて別の果実酒にしようかな」といった、梅の高値に対する消費者の戸惑いや諦めの声も見受けられ、その反響の大きさから、和歌山ウメは国民の食生活に深く根付いていることが分かります。
私見ですが、今回の和歌山ウメの高騰は、農産物価格が天候によって大きく左右されるという、農業の宿命を改めて浮き彫りにした出来事だと言えるでしょう。特に南高梅のようにブランド価値が高い農産物の場合、生産量の変動がダイレクトに市場価格に反映されやすい傾向にあります。消費者としては、価格が高騰したとしても、生産者の方々が丹精込めて育てた高品質なウメの価値を理解し、無駄なく大切に活用していく姿勢が重要ではないでしょうか。
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