2019年6月2日に開催された明治安田生命J1リーグ第14節で、FC東京がホームに大分トリニータを迎え、3対1で見事な快勝を収めました。前節のセレッソ大阪戦で今季初の土をつけられた首位チームは、長谷川健太監督が「切り替え」「球際」を徹底するよう、選手たちに改めて高い意識を求めていたようです。その結果、永井謙佑選手やディエゴ・オリヴェイラ選手、東慶悟選手といったアタッカー陣が持ち前のハードワークを存分に発揮し、常にも増して献身的にボールを追いかけました。監督も「前線の選手がしっかりとスプリントしたのが(勝てた)一番の要因」と、彼らの運動量を勝因として称賛しています。
しかし、チームの勝利を決定づけたのは、この試合で主役の座を射止めた当時17歳の久保建英選手でした。彼は、疲れからかピッチを退いた主力選手たちの後に、追加タイムで自身2点目となるゴールを決め、試合の幕引きを飾りました。これは、相手の不用意なバックパスをさらってゴールキーパーをかわし、無人のゴールへボールを流し込んだ、まさに冷静さと技術が光る一撃でした。この久保選手の活躍は、SNSでも「日本の宝」「規格外の才能」といった賛辞とともに大きく反響を呼び、その卓越した能力に多くのファンが魅了されました。
この日の久保選手のプレーには、わずかな幸運も作用したといえるでしょう。例えば、前半39分に生まれた1点目は、相手選手に当たってコースが変わりゴールインしたものでした。しかし、それ以上に特筆すべきは、パスカットから自らボールを運び、躊躇なくシュートへと持ち込んだ「決断力」と、瞬時にゴールキーパーの股下という「狙い所」を見極めた非凡な洞察力です。彼は、自身でも「悪くなかった」という手応えを感じながらも、「自分より走っている選手がいるから」「あれだけボールを受けられれば」と謙遜の言葉を述べつつ、英才らしい確固たるプライドも垣間見せています。
FC東京の戦術は、前線がまず走り、フィールド全体がまるで尺取り虫のように連動して陣地を押し上げる、シンプルながらも非常にアグレッシブなスタイルです。尺取り虫とは、胴体の前後を交互に伸縮させて移動する昆虫で、ここではチーム全体が一体となって伸び縮みしながら、前へ前へと陣地を拡大していく様子を表現しています。そして、今シーズン、このシンプルだったFC東京のサッカーに「奥行き」と「創造性」という新たな次元を加えているのが、久保選手の端正なタッチ、すなわち正確で美しいボールコントロールなのです。
久保選手は、この後、サッカー南米選手権(コパ・アメリカ)に出場する日本代表に招集されることが決定しています。コパ・アメリカは、南米サッカー連盟(CONMEBOL)が主催するナショナルチームによる大陸選手権のことで、世界でも権威のある大会の一つです。長谷川監督も「コパにとられるのは、ちょっと痛い」と、その戦力ダウンを正直に認めています。しかし、私は、久保選手の不在は、彼に頼るだけでなく、チームの「総合力」が試される絶好の機会だと考えます。大人であるチームメイトたちが、この才能あふれる少年が留守の間も、しっかりと首位の座を守り続けることができれば、それはFC東京が真の強豪へと進化を遂げた証となるでしょう。今後の彼らの戦いぶりに大いに注目したいところです。
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