事務機器大手の株式会社リコーが、かつてない緊張感に包まれています。2019年08月13日に提出された大量保有報告書の変更届により、同社の筆頭株主である「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」が、その投資スタンスを劇的に変化させたことが判明しました。これまでは単なる「純投資」として静観していましたが、今後は経営陣への助言や重要な提案を行う姿勢を明確に打ち出しています。
エフィッシモといえば、旧村上ファンドの系譜を継ぐ「アクティビスト(物言う株主)」として市場にその名を轟かせています。彼らは過去にヤマダ電機や川崎汽船といった名だたる企業に対しても、経営効率の改善を厳しく迫ってきました。今回の投資方針の変更は、リコーの経営陣に対して「これ以上の株価低迷は許さない」という強烈な最後通牒を突きつけたものと解釈できるでしょう。
SNS上では、このニュースを受けて「リコーもついにエフィッシモの本気モードに直面したか」「構造改革は進んでいるはずなのに、株価が追いついていないのが痛い」といった声が上がっています。投資家たちの間では、今後の株主総会に向けた波乱を予感させる書き込みが相次いでおり、リコーがどのように対抗策を講じるのか、あるいは対話を受け入れるのかに注目が集まっている状況です。
業績回復と反比例する株価の苦悩
リコーはここ数年、不採算事業の切り離しや大胆な人員削減を含む構造改革を断行してきました。その甲斐あって、2019年現在の業績は目覚ましい回復を遂げています。しかし、実利を伴う業績改善とは裏腹に、市場からの評価である株価は低空飛行を続けているのが現状です。どれだけ内部をスリム化しても、将来の成長戦略が投資家を納得させるには至っていないのかもしれません。
ここで専門用語の解説を挟みますが、「アクティビスト」とは、株式を一定数保有した上で、企業価値を高めるために経営陣へ直接働きかける投資家のことです。エフィッシモは2015年頃から累計で約1600億円もの巨額投資をリコーへ投じてきました。しかし、現在の株価水準では約230億円もの含み損を抱えていると推測されており、彼らが焦燥感を募らせるのも無理はないと言えます。
編集者の視点から言えば、リコーの現状は「正しい努力が市場に伝わっていない」もどかしさを感じます。リストラによる「守りの改革」は成功しましたが、今後はDX(デジタルトランスフォーメーション)を柱とした「攻めの姿勢」をどれだけ具体的に示せるかが鍵となるでしょう。エフィッシモの介入は、リコーが真の優良企業に脱皮するための、荒療治であり劇薬となる可能性を秘めています。
今後、2019年の下半期にかけてエフィッシモがどのような具体的提案を繰り出すのか、目が離せません。増配や自社株買いといった株主還元策の強化なのか、あるいは取締役の派遣による経営体制の刷新なのか。いずれにせよ、リコーの経営陣は、数字上の利益だけでなく「株主を納得させる物語」を提示しなければならない、極めて重要な局面を迎えていると断言できます。
コメント