昭和電工が日立化成を9000億円で買収へ!半導体・5G材料で世界に挑む「不退転」の勝負とは?

日本の化学業界に激震が走る歴史的なビッグニュースが飛び込んできました。総合化学メーカーの昭和電工が、日立製作所のグループ中核企業である日立化成の買収に向けて優先交渉権を獲得したのです。2019年11月26日、昭和電工はこの事実を認め、業界内では驚きの声が広がっています。買収額は9000億円規模に達する見通しで、自社の売上高に匹敵する「社運をかけた大勝負」に打って出ます。

日立化成は、かつて日立グループの「御三家」と称された名門企業ですが、親会社の日立製作所がデジタル事業へ舵を切る中で売却の対象となりました。今回の入札には名だたる投資ファンドや大手化学メーカーも名を連ねましたが、巨額の投資リスクを前に次々と撤退しました。そんな中、昭和電工だけが最後まで踏みとどまった背景には、現状のままではグローバルな競争に埋没してしまうという強烈な危機感があったのでしょう。

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過去最高益の裏に潜む危機感と「先端材料」へのシフト

昭和電工は1939年6月1日に、日本初の国産技術を誇る昭和肥料と日本電気工業が合併して誕生しました。現在はハードディスク用磁気ディスクや製鉄用の黒鉛電極で世界トップシェアを誇り、2018年12月期には過去最高益を更新するなど絶好調に見えます。しかし、これらの主力事業は景気変動の影響を受けやすく、パソコン需要の鈍化も相まって、中長期的な成長には「次の一手」が不可欠な状況にありました。

そこで白羽の矢が立ったのが、日立化成が持つ強力な「電子材料」のラインナップです。同社は電気自動車に欠かせないリチウムイオン電池の負極材で国内最大手であり、半導体の保護に使う封止材や、表面を削る研磨材など、これから普及が加速する5G時代に直結する先端技術を数多く保有しています。この技術を手に入れることで、昭和電工は市況に左右されない強靭な企業体質への脱皮を目指しているのです。

市場の期待と不安が交錯する「2倍」の財務リスク

今回の発表を受け、SNSや株式市場では「日本の化学メーカーが世界と戦うために必要な再編だ」という期待の一方で、財務への悪影響を懸念する声が噴出しています。実際に2019年11月26日の株価は、買収による負債増加を警戒して急落する場面もありました。特に注目されているのが「DEレシオ」という指標です。これは企業の借金が自己資本の何倍あるかを示すもので、健全な経営の目安は1倍以下とされています。

昭和電工のDEレシオは2019年9月30日時点で0.61倍と良好でしたが、今回の買収資金を借入金で賄えば、一気に2倍以上に膨らむ可能性があります。私は、この決断はまさに「背水の陣」だと感じます。世界には独BASFのような巨大企業が君臨しており、日本勢が生き残るにはこれほどの規模の再編が不可欠です。リスクを恐れず未来の成長分野へ舵を切った昭和電工の勇気ある決断が、実を結ぶことを期待せずにはいられません。

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