オービックの時価総額が1兆円突破!「自前主義」を貫く異色のIT王者がクラウドの波に挑む

日本のIT業界において、静かに、しかし圧倒的な強さを見せつけている企業があります。それがオービックです。2019年11月27日現在、同社の時価総額は10年前と比較して10倍以上に膨れ上がり、1兆4000億円という驚異的な水準に到達しました。これは、売上規模で大きく上回るNECをもしのぐ市場評価を受けていることを意味しており、投資家からの熱烈な視線が注がれているのです。

オービックの主戦場は、中堅・中小企業のIT化を支援する市場です。調査によれば、この分野は2018年の4兆1214億円から、2022年には4兆3989億円へと着実な拡大が見込まれています。SNSでは「派手さはないが、利益率の高さが異常」と驚きの声が上がっており、堅実な経営スタイルが評価される一方で、これからの成長維持に期待と不安が入り混じっています。

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迫りくるクラウドの巨人とグローバル企業の影

しかし、順風満帆に見えるオービックの前には、かつてない強敵が立ちはだかっています。これまでは大企業向けを得意としていた米オラクルや独SAPといった世界的巨人が、製品の「クラウド化」を武器に、中小企業市場へ攻勢をかけているからです。クラウド化とは、自社でサーバーを持たず、インターネット越しにソフトウェアを利用する仕組みのことで、低コストで導入できるため、顧客が流れる要因になり得ます。

さらに、特定の分野に特化したクラウド専業のスタートアップも勢いを増しています。人事管理に特化した米ワークデイや、経費精算で圧倒的な利便性を誇る米コンカーテクノロジーズなどがその代表格でしょう。これらの企業はトヨタ自動車のような大企業だけでなく、日本の中小企業にも浸透し始めています。最新のAI技術を駆使したサービスが、従来のビジネスモデルを脅かしているのは間違いありません。

自前主義という誇りと「規模の壁」への挑戦

オービックの最大の特徴は、外部に頼らず自社で開発からサポートまで完結させる「自前主義」です。しかし、一般的にクラウドビジネスで収益を上げるには、大量のユーザーを抱えて「スケールメリット」、つまり規模による効率化を追求しなければなりません。また、AI分野の進化に対応するには外部との連携も不可欠であり、これまでの「孤高の戦略」が足かせになる可能性も指摘されています。

編集者の視点から言えば、オービックの魅力は「売上を追わずに質を磨く」という独自の哲学にあります。しかし、顧客の選択肢が爆発的に増えている現代において、伝統的な手法に固執し続けるのは一つの賭けでもあるでしょう。連続増益という輝かしい記録を今後も更新し続けられるのか、まさに同社は今、自らのアイデンティティを問われる重要な局面を迎えていると言えそうです。

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