2019年11月27日、米連邦準備理事会(FRB)は最新の地区連銀経済報告、通称「ベージュブック」を公開しました。今回の報告では、10月から11月中旬までの景気動向について、前回よりも前向きな評価が示されています。特に注目すべきは、景気拡大のペースがこれまでの「わずか、もしくは緩やか」という表現から、一段階上の「緩やか」へと引き上げられた点でしょう。
ベージュブックとは、全米12の地区連銀が収集した経済情報をまとめた報告書のことです。いわば、アメリカ経済の「健康診断書」のような役割を果たしており、今後の金融政策を左右する重要な判断材料となります。SNS上では「米中貿易摩擦の影が差す中でも、消費者の購買意欲は衰えていないようだ」といった、米国経済のタフさに驚く声が数多く寄せられています。
実体経済を支えているのは、何と言っても堅調な個人消費です。アトランタ地区の小売業者からは、年末商戦に向けた明るい見通しが報告されており、オンラインショッピングの普及も追い風となっています。さらに、低金利の恩恵を受けた住宅市場も回復の兆しを見せており、2019年11月18日までのデータによれば、建設業界でも例年以上の受注を抱える企業が目立つようになっています。
製造業の持ち直しと労働市場の現状
一方で、これまで懸念されていた製造業にも一部で改善の兆しが見え始めました。フィラデルフィア地区では化学や金属、産業機械といった幅広い分野で受注が伸びており、内需の底堅さが企業の設備投資計画を後押ししているようです。貿易摩擦によるコスト増という重石は依然として存在しますが、企業側はそれを乗り越えようとする前向きな姿勢を保っていることが伺えます。
労働市場に目を向けると、専門的な技術職やヘルスケア分野を中心に雇用は「わずかに」拡大しています。人手不足は相変わらず深刻な課題ですが、低技能の職種では賃金が上昇する圧力も高まってきました。物価の上昇については、関税による仕入れ価格の跳ね上がりを消費者に転嫁できている企業はまだ一部に限られており、全体としては落ち着いた動きを見せています。
筆者の視点としては、今回の報告は非常に勇気づけられる内容だと感じています。世界的な経済減速への不安が渦巻く中で、消費が冷え込まずに経済を牽引している現状は、米国経済の構造的な強さを証明していると言えるでしょう。2019年12月10日から11日に開催される次回のFOMCでは、このポジティブな結果がどのように議論へ反映されるのか、目が離せません。
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