長野県内の経済を支える屋台骨に、今、静かな変化の波が押し寄せています。長野経済研究所が2019年11月29日に発表した設備投資動向調査によれば、県内主要企業310社における2019年度の設備投資額は、前年度と比べて5%減少する見込みとなりました。総額は1054億円に達するものの、これまで右肩上がりを続けてきた投資意欲に、ブレーキがかかった形です。
今回の結果についてSNSでは、「長野の強みである製造業が元気がないと心配」「世界情勢の影響が地方にも及んでいる」といった不安の声が上がっています。その一方で、建設業などの非製造業が11%の増加を見せていることに注目し、「街づくりやインフラ整備が経済を下支えしている」と前向きに捉える意見も見受けられます。景気の良し悪しを判断する「設備投資」とは、企業が将来の利益のために工場を建てたり、最新の機械を導入したりする活動のことです。
製造業の苦戦と米中貿易摩擦の影
投資額の約7割という圧倒的なシェアを占める製造業ですが、2019年度は前年度比で10%もの落ち込みを見せています。この背景には、現在進行形で世界経済を揺るがしている「米中貿易摩擦」の影響が色濃く反映されているようです。輸出を強みとする電気機械や食料品といった分野で、増産のための投資を一時的に見送る動きが相次いでいます。
特に電気機械は16%減、食料品に至っては33%減という厳しい数字が並びました。前年度に大規模な投資が行われた反動という側面もありますが、多くの企業が「将来の稼ぎ」を慎重に見極めようとしている姿勢が伺えます。調査が行われた2019年9月下旬から2019年10月中旬にかけての期間は、甚大な被害をもたらした台風19号の影響がまだ反映されておらず、先行きの不透明感はさらに強まっています。
企業が設備投資に消極的になる理由として、最も多く挙げられたのは「収益や需要の見通しの変化」でした。これは、モノを作っても売れない、あるいは利益が出にくい状況を察知して、投資のタイミングをずらしたり、内容を見直したりしていることを意味します。現場の編集者としては、こうした企業の「守り」の姿勢が、地域雇用やサプライチェーン全体へ波及しないか注視していく必要があると感じています。
非製造業の躍進と設備投資DIに見る希望
暗いニュースばかりではありません。非製造業に目を向けると、当初の計画から16%も上方修正されており、特に建設業が力強い伸びを見せています。さらに、設備投資の見通しを数値化した「設備投資DI」は、製造業が1.4、非製造業が8.7と共にプラス圏を維持しました。このDI(ディフュージョン・インデックス)とは、投資を増やすと答えた企業の割合から、減らすと答えた企業の割合を引いた指標です。
この数値がプラスであるということは、依然として投資に対して前向きな企業が数として勝っていることを示しています。長野経済研究所も「投資の水準自体は決して悪くない」と分析しており、決して経済が冷え切っているわけではありません。むしろ、これまでの過熱気味だった投資が、一度冷静な調整局面に入ったと見るのが妥当でしょう。
それでも、2020年度の計画額が2019年度比でさらに10%減少するという予測は、今後のリスク要因として無視できません。私たち消費者にできることは、地元企業の製品を支え、地域の経済循環を止めないことではないでしょうか。信州の企業がこの荒波を乗り越え、再び攻めの姿勢に転じる日が来ることを、一編集者として強く期待しています。
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