世界と戦う「攻めの法務」へ!日立がCLOを新設しルールメイキングを主導する企業変革の舞台裏

ビジネスの最前線で今、大きな地殻変動が起きています。これまで日本の法務部門といえば、契約書のチェックや法令順守を確認する「守り」のイメージが強くありました。しかし、2019年11月18日現在の状況を見ると、その役割は企業の運命を左右する「司令塔」へと劇的に進化を遂げています。

特に注目を集めているのが日立製作所の動きです。同社は2020年春、全世界の法務機能を統括する最高法務責任者「CLO(チーフ・リーガル・オフィサー)」を新設することを決定しました。CLOとは、経営陣の一員として法的視点から戦略を立案し、リスクを管理する役職のことです。

日立がこの変革を急ぐ背景には、2018年に発表されたスイスの重電大手ABBの電力システム事業買収があります。2020年に統合が完了すれば、世界70カ国以上に拠点が広がります。各国の複雑な規制や、厳格化する競争法(独占禁止法)に対応するためには、本社の強力な統率が不可欠なのです。

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「ネゴシエーター」としての法務が損失を防ぐ

日立の執行役常務である児玉康平氏は、海外での苦い経験から法務の早期介入を重視しています。かつて米国の病院に装置を納入した際、契約の不備で損失を出したことがあったそうです。欧米では法務担当が交渉人として初期から参加するのが常識ですが、日本では最終段階で呼ばれることが少なくありません。

「後からでは修正できず、不利な条件を飲まされる」という状況を打破するため、日立は法務を経営のど真ん中に据えようとしています。SNS上でも「法務が強くなければ国際競争には勝てない」「ハンコを押すだけの部署からの脱却は必須」といった共感の声が多く上がっており、この変化は必然と言えるでしょう。

私自身の見解としても、デジタル化が加速する現代において、法務は「ブレーキ」ではなく「アクセル」を適切に踏むための知識であるべきだと考えます。リスクをゼロにすることに固執してビジネスの好機を逃すのではなく、許容できるリスクを見極める力が、今の日本企業には最も求められているのです。

スタートアップが挑む「ルールを作る」という攻勢

法務の変革は、大企業だけでなく新興のスタートアップでも加速しています。クラウドファンディング大手のREADYFORでは、2018年に弁護士の草原敦夫氏がCLOに就任しました。ここでの役割は、単なる法令順守にとどまらず、政府や当局に対して新しいルールを提案していくことにあります。

フィンテックのような未知の領域では、既存の法律が実態に合わないことが多々あります。そこで、当局との対話を通じて「社会に役立つ新しい仕組み」が正しく評価されるよう働きかけるのです。これは、受け身の姿勢から脱却し、自ら市場のルールを創り出す「ルールメイキング」という攻めの姿勢です。

また、メルカリも2018年の上場を経て、2019年2月のスマホ決済開始に合わせCLOを設置しました。単に「適法か」を問うだけでなく、「社会規範から逸脱していないか」という倫理観までを経営陣と議論しています。適法であっても社会に受け入れられなければ、ブランドは一瞬で失墜するからです。

経済産業省もこうした流れを後押ししており、法務人材の指針を近く公表する予定です。米国では7割の企業が法務と「毎日」協議するのに対し、日本は半数が「月数回」という現状があります。法務がイノベーションの推進役となることが、日本経済が再び輝きを取り戻すための鍵となるはずです。

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