国内トイレタリー大手として知られるライオン株式会社が、2020年1月1日付で実施する大規模な組織改革と役員人事を発表しました。今回の発表は単なる役職の交代にとどまらず、同社が未来に向けてどのように進化しようとしているのか、その決意が明確に表れたものとなっています。SNS上でも「ライオンが大きく動いた」「新組織の名前が今風で期待できる」と、業界内外から大きな注目を集めています。
今回の改革における最大の目玉は、なんといっても「ビジネス開発センター」の新設でしょう。この新しい組織には、統括部をはじめ、消費者の深い洞察を行うコンシューマーナレッジ、顧客体験を設計するエクスペリエンスデザイン、そして新規事業を育てるビジネスインキュベーションといった専門部署が設置されます。時代の変化に合わせ、これまでの枠組みを超えた価値創造を目指す姿勢が伺えます。
経営基盤の再編と次世代リーダーの抜擢
組織の簡素化も断行されました。長らく経営の柱であった経営戦略本部と人事総務本部を廃止し、より現場に近い形での意思決定を促しています。例えば、人事部は「人材開発センター」へと名称を変え、単なる管理業務から一歩踏み出し、社員の能力を最大限に引き出す育成重視の姿勢を鮮明にしました。この「人材開発」という言葉選びからは、人を資本と捉える現代的な経営哲学が感じられます。
役員陣の布陣も非常に興味深い内容です。小林健二郎取締役が人材開発センターと総務を担当し、榊原健郎取締役が経営企画と経理を統括するなど、ベテラン勢が重要な舵取りを担います。一方で、小池陽子氏が執行役員として人材開発センターの重責を担い、田中孝祐氏が研究開発本部長に昇進するなど、実務に精通した新しい力が最前線に配置される形となりました。
研究開発(R&D)部門においては、副本部長だった田中氏が本部長に昇格し、岩崎英明氏が新たに副本部長に就任します。ライオンの強みである技術力を、いかに迅速に製品化へ結びつけるかが鍵となるでしょう。ちなみにR&Dとは「Research and Development」の略称で、企業が新しい知識を得たり、革新的な製品を生み出したりするための調査・開発活動を指す、メーカーにとっての心臓部です。
現場力とグローバル展開を強化する営業・国際戦略
営業部門のヘルス&ホームケア営業本部では、新たに「チャネルマーケティング部」が設置されます。これは、ドラッグストアやスーパーといった販売経路(チャネル)ごとに最適な戦略を練るための専門組織です。さらに、首都圏のチェーンストア販売促進部を二つに分割するなど、きめ細やかな店舗支援体制を整えており、シェア拡大に向けた並々ならぬ執念が伝わってきます。
世界市場を見据えた国際事業本部も、商品企画部を二つの部署に分けることで、地域ごとのニーズに即したスピーディーな商品展開を狙っています。国内で培った高い品質を、アジアを中心とした海外市場でどう適合させていくのか。今回の体制変更は、同社がグローバル企業として一段上のステージへ駆け上がるための、力強い助走期間に入ったことを示唆しているのではないでしょうか。
私個人の見解としては、今回の組織改革は「伝統と革新の融合」が極めてバランス良く配置されていると感じます。古い本部の枠組みを取り払い、デザイン思考やインキュベーションといった現代的なキーワードを取り入れた新組織は、保守的になりがちな大企業において非常にポジティブな変化です。2020年という節目を迎え、ライオンがどのような驚きを私たちに届けてくれるのか、期待が高まります。
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