アメリカの労働市場に、にわかに冷たい風が吹き込み始めました。米民間雇用サービス大手のADP社が、2019年12月4日に発表した11月の全米雇用リポートは、市場関係者に大きな衝撃を与えています。非農業部門の民間雇用者数は、前月からわずか6万7000人の増加にとどまりました。前月の改定値である12万1000人増と比較すると、その勢いが急激に失われている様子が見て取れるでしょう。
今回の数値は、ダウ・ジョーンズがまとめていた市場予測の15万人前後という数字を、半分以下に下回るという予想外の結果となりました。2019年9月から11月までの3ヶ月平均を算出してみても、月間10万4000人増という水準に落ち着いています。これまで堅調だと思われていた米国の雇用環境に、明らかなブレーキがかかっている現状が、このデータによって浮き彫りになった形です。
製造業と鉱業が直面する逆風の正体
特に深刻な状況に陥っているのが、製造業と鉱業の分野です。リポートによれば、これらの業種ではそれぞれ6000人もの雇用が失われました。ここで言う「製造業」とは工場などで製品を作る仕事、「鉱業」とは石油や石炭などの資源を掘り出す仕事を指します。米中間の関税問題によるコスト増大や、企業が新しい工場・機械にお金をかける「設備投資」を控えていることが、現場の雇用を直接的に圧迫しているようです。
SNSなどのインターネット上でも、この結果に対しては驚きと不安の声が広がっています。「景気後退の予兆ではないか」と身構える投資家や、「クリスマス商戦を前に冷や水を浴びせられた気分だ」といった悲観的な意見が目立ちました。一方で、一部の専門家からは「あくまで民間の一統計に過ぎず、政府の公式発表を待つべきだ」という冷静な分析も飛び交っており、ネット上は情報収集に奔走するユーザーの熱気に包まれています。
編集部としては、今回の雇用鈍化を一時的な調整と楽観視するのは危険だと考えています。雇用は個人消費を支える大黒柱であり、ここが揺らげば米経済全体の失速に繋がりかねません。製造業の落ち込みがサービス業など他のセクターへ伝染していくのか、それとも耐え忍ぶことができるのか。トランプ政権の通商政策が与える実体経済への影響を、私たちは今、より慎重に見極めるべき局面に立たされていると言えるでしょう。
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