世界中で猛威を振るう感染症の脅威に対し、日本の科学技術が大きな一歩を踏み出そうとしています。東京大学の四柳宏教授と河岡義裕教授らの研究グループは、2019年12月05日にエボラ出血熱を予防するための新型ワクチンの臨床試験、いわゆる「治験」を今月中に開始すると公表しました。
治験とは、新しい薬やワクチンが実際の人間に対して安全であり、かつ効果があるかを確認するための重要なステップを指します。これまで日本国内でエボラワクチンの治験が行われた事例はなく、今回の試みはまさに歴史的な転換点と言えるでしょう。
ネット上では「国産ワクチンの開発は心強い」「アフリカの人々を救う光になってほしい」といった応援の声が続出しています。一方で、エボラウイルスそのものを扱うことへの不安も見られましたが、今回のワクチンはウイルスの増殖能力を抑えた非常に安全な設計となっている点に注目が集まっています。
既存ワクチンの課題を克服する革新的な技術
現在、エボラ出血熱のワクチンは米国のメルク社やジョンソン・エンド・ジョンソン社などが先行して開発を進めています。しかし、既存の製品は深刻な副作用が報告されたり、製造工程が複雑で大量生産が難しかったりと、普及に向けた高いハードルが残されているのが現状です。
これに対し、河岡教授らが開発した東大発のワクチンは、製造のしやすさが大きなメリットとなっています。特定の遺伝子を欠損させることで、体内での病原性を極限まで抑えつつ免疫反応を引き出す仕組みを採用しており、サルを用いた動物実験では既にその劇的な効果が実証されています。
今回の治験は2019年12月から開始され、20代から40代の健康な成人男性30名を対象に実施される予定です。4週間の間隔を空けて合計2回の接種を行い、体に異変が起きないかという安全性と、血液中の抗体価が上昇してウイルスへの抵抗力が高まったかを詳細に分析します。
編集者の視点から言えば、感染症対策において「自国で技術を持つこと」の意義は計り知れません。特に製造が容易であるという特長は、流行地への迅速な供給に直結します。この治験が成功裏に終わり、日本の知性が世界の公衆衛生に大きく貢献する日が来ることを切に願っています。
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